白血病(11/6/6更新)

[小児の白血病とは]
小児がんのうち一番多く約3分の1を占めているのが白血病。14歳以下の子供10万人のうち、3〜4人に見られます。簡単にいえば血液の中の白血球がガン化(異常な増殖)したことによっておこる病気です。血液の働きが正常に行われなくなり、貧血や鼻出血、感染症などを起こしやすくなってしまいます。また、これらが重症化しやすくなるます。
白血病は急激に起こる『急性白血病』と、ゆっくり発症する『慢性白血病』があります。急性はまた、『急性リンパ性白血病』と『急性骨髄性白血病』に分類されます。
子どもの白血病の80%弱は急性リンパ性白血病で、発症した年齢、発症時の白血球数によって治療に対する反応性に差がありますが、最も頻度の多い低悪性度のものでは約80%の患者さんは生存しています。
急性骨髄性白血病は20%弱です。急性リンパ性白血病に比べると治療に対する反応が悪く、造血幹細胞移植の併用により約40-70%の患者さんは生存しています。(タイプにより若干異なります。)

[原因]
小児白血病の原因は、まだはっきりとしたことはわかっていませんが、遺伝子の異常や、放射能被爆、一種のウイルスによる感染などが原因ではないかとといわれます。妊娠中のX線被曝、ベンゾールなど一部の化学物質も原因となります。あとはまだはっきりとは解明されておらず、疫学調査でも国別の違いはあまりみられないので、食べ物や遺伝が深く関係してはいないようです。また小児白血病と極低周波(電磁波)は関係があるという認識が広まっています。1976年にアメリカの研究機関が小児がん患者は送電線近くに住む割合が多いと指摘したことをきっかけに、世界中で電磁波と小児がんに関する疫学調査が行われました。今、その数は50を超えていますが、その多くでリスク比は1以上。つまり、電磁界が強いと発病のリスクが上がる、というものです。
放射性物質の影響についてはまちまちの報告になっています。ドイツ政府の調査では原発周囲の白血病の発症率は2倍、一方イギリスでは原発と白血病の関連を否定する報告が出されています。大量被ばくによる発病の増加は明らかですが低用量の被害に対して正確なデータが無いようです。

[症状]
白血球が少なくなることで、発熱・のどの痛み、などの「感染症状」などが起こります。初期の症状は、微熱があったり、熱を繰り返したり、食欲がない、何となく疲れやすい等の風邪と変わらない分かりにくい症状で始まります。半月以内に、傷を治したりする働きがある血小板が減ることで、鼻血や皮下出血などの「出血症状」や、酸素を運ぶ赤血球が減ることで貧血になり、顔面蒼白(がんめんそうはく)・全身のだるさ、などの「貧血症状」がでてきますので、ここで初めて風邪ではない、と気づくことになります。

[治療]
抗がん剤を使う化学療法が基本となります。化学療法の効果が期待できな場合は、造血幹細胞移植(ぞうけつかんさいぼういしょく)という方法が行われます。これは、骨髄を移植する治療です。
最近では急性リンパ性白血病の治癒率は、約80%になっています。ただし、その治癒率も同じ治療を行っても治りやすいグループと治りにくいグループがあり、その子供の発症の年齢が1歳未満と10歳以上では1歳〜9歳の方が治りやすいとされています。そのため、その白血病の子供を同じ方法で治療するのではなく、あくまでもその子供にあった治療方法を行う事が大変重要になってきます。


白血病、というと非常に怖い病気!というイメージですが、子どもの白血病は幸いなことに最近は治る病気、との認識になっています。かなり長期間の入院治療が必要な大変な病気ですが、完治癒に関する期待が充分もてます。
放射性物質や電磁波等、我々人間が快適な生活を得る為に創りだした者たちのおかげで、その快適な生活と引き換えに、将来の子ども達、地球の安全が損なわれる可能性は否定できません。

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