甲状腺機能亢進症(バセドウ病)(10/11/22更新)

[甲状腺機能亢進症とは]
甲状腺から甲状腺ホルモンが異常にたくさん出てきて、そのため種々の症状が見られる病気です。甲状腺が働きすぎる状態で、甲状腺ホルモンの値が高く、生命活動が加速されます。
原因はいくつかあり、バセドウ病、甲状腺炎、毒物や放射線照射による炎症、中毒性甲状腺結節、下垂体の亢進による過剰刺激などが挙げられます。が、ここでは子どもさんに多いバセドウ病についての事を述べます。

[原因]
甲状腺機能亢進症の中で最も多いのがバセドウ病で、血液中の異常なタンパク質(抗体)が甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンを過剰につくり、分泌させることで起こる自己免疫疾患です。この原因による甲状腺機能亢進症はしばしば遺伝し、特に女性では、患者のほとんどは甲状腺が肥大します。自然に軽快することもまれにあります。甲状腺の機能が亢進している期間は治療が必要になります。

[症状]
甲状腺腫:甲状腺が大きく軟らかくはれてきます。
あと眼球突出、頻脈の3主徴のほか発汗、手がふるえるなどがありますが、成人ほど著明でないようです。小児では感情の動揺がひどくなり、気分がかわりやすい、じっとしていられないなどのため、学校では行儀がわるくなったように誤解されることもあります。普段できていた運動ができなくなったり、そのために不安を感じたり悩んでいたりすることが多いようです。また、食欲があるのに体重がやせてくるということもあります。

[診断]
血液検査にて甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモンなどを測定し、診断を確定します。超音波エコー、甲状腺シンチグラムでびまん性に大きくなっていることを確認すこともあります。

[治療]
子どもの場合は殆どが内服治療です。
甲状腺の働きを抑える●メルカゾールや●プロパジール(またはチウラジール)を内服します。 最初は多めに薬を使い、ホルモンのバランスを見ながら薬を減らしてゆきます。
ホルモンが正常化してもすぐに薬を中止すれば、ほとんどの場合再発します。 日本の成績からは2〜3年は薬を続けることがほとんどです。根気よく薬を続けなければなりません。
ときどき薬の副作用で、じんましんや白血球が減ってしまう副作用がでることです。 もし、白血球が減ってしまう副作用がでた場合は、扁桃腺炎を起こして喉が痛んだり、高熱がでたりします。 その様な症状が現れたら、直ちに服薬を中止して病院で血液検査を受け、白血球の数を調べる必要があります。 早期に対処すればよくなります。メルカゾールでは子のような副作用は出にくいです。

バセドウ病の方は結構おられます。この病気は薬を飲み始めると症状が取れるので、治った、と思いがちです。それて薬を止めてしまいますと必ず再発します。再発後はコントロールしにくくなってしまいます。血液検査をしながら薬を減量していくのですが、ある程度の期間は上述のように薬を続けないといけません。完全に正常化して数年薬を続けたうえで止めても数年後に再発することもあります。10代で発症した場合の方が少しコントロールしにくく治りにくいようです。
30代での発症は症状が更年期障害のものと少し似ていたりするのでちょっと注意が必要になりますね。

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