単純性甲状腺腫(10/11/15更新)

甲状腺とは

[位置]
甲状腺は直径約5センチメートルの小さな腺で、皮膚の下、のどぼとけの下方にあります。甲状腺は2つの部分(葉)に分かれ、中央で結合し(峡部と呼ばれます)、蝶ネクタイのような形をしています。正常ならば、甲状腺は外見ではわからず、かろうじて触れることができる程度ですが、甲状腺が肥大(甲状腺腫)していると、医師が触診すれば容易にわかるようになり、のどぼとけの下方やその側に目立つふくらみが現れます。

[役目]
甲状腺は、体の化学反応を促進する速度(代謝率)を制御する甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺ホルモンは2通りの方法で代謝率に影響します。1つは、体のほとんどの組織を刺激してタンパク質をつくらせる方法、もう1つは細胞が使う酸素量を増やす方法です。甲状腺ホルモンは、心拍数、呼吸数、カロリーの燃焼率、皮膚の修復、成長、発熱、受胎力、消化など多くの生命活動に影響します。
甲状腺ホルモンをつくるために、甲状腺は食べものや水に含まれるヨードを必要とします。甲状腺はヨードを取り入れて甲状腺ホルモンに加工します。甲状腺ホルモンが使われると、ホルモンに含まれる少量のヨードが放出され、甲状腺に戻り、甲状腺ホルモンをつくるために再利用されます。不思議なことに、甲状腺は血液中のヨード濃度が高くなると甲状腺ホルモンの放出をやや減らします。


単純性甲状腺腫とは
機能の異常や炎症、腫瘍等を伴わず甲状腺が肥大している状態です。
思春期や妊娠中の女性に多く発生します。甲状腺が肥大して大きく広がります。

[症状]
甲状腺が肥大するため、のどの圧迫感や嚥下困難といった症状が現れることがあります。

[原因]
食物中にヨードという成分が不足しているせいで甲状腺ホルモン量が不足し、それを補うために甲状腺が肥大する場合と、キャベツやもやしなどといった甲状腺腫誘発食品のとりすぎによるものや薬品が原因でおきるものなどがあります。
ホルモンの産生量は正常なので、一般に甲状腺のはれ以外の病状はありません。大部分は思春期を過ぎると自然に縮小しますが、そのまま成人期に移行することもあります。

[治療]
甲状腺ホルモンを補充して甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑えます。ヨード不足が原因の場合、少量のヨードを摂取し、甲状腺腫誘発食品や薬品が原因の場合、それらの摂取を控えます。
甲状腺腫が嚥下困難や呼吸困難を起こすほど大きくなった場合、手術で切除します。


これは殆ど女性にしか見られないようです。自覚症状はないので、学校の健診で指摘されたとか、他の病気で受診した時にたまたま見つかった、という風に偶然見つかることが殆どです。まず問題は無いのですが、まれに成人の甲状腺の病気につながっていくことがありますので、定期的に受診することだけは続けた方が良いと思います。

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