尿崩症(10/10/25更新)

[尿崩症とは]
尿を濃縮する抗利尿(こうりにょう)ホルモンの分泌低下、またはそのはたらきが悪いことによって、尿を濃縮することができず、多尿になり、その結果、多飲になる病気です。

[原因]
抗利尿ホルモンの分泌低下は、中枢性尿崩症と呼ばれ、脳腫瘍(胚芽腫(はいがしゅ)など)や下垂体(かすいたい)自体の障害(重症成長ホルモン分泌不全性低身長症に伴ったもの)などが原因で、原因不明の場合(特発性)も多くあります。
  抗利尿ホルモンのはたらきが悪い場合は、腎性尿崩症と呼ばれ、抗利尿ホルモン受容体の遺伝子異常や腎臓の水チャンネルの遺伝子異常によるものがみられます。

[症状]
口渇(こうかつ)、多飲、多尿が主要な症状です。多尿とは1日の尿量が3L以上の場合をいいます。本症では、1日の尿量は3Lから10Lにもなります。続発性尿崩症では、上記の症状に加えて、原因疾患の症状を示します。
腫瘍が原因の場合、腫瘍が拡大すれば、頭痛、視野障害、視床下部・下垂体前葉機能低下症状などを示します。下垂体前葉機能低下の程度が強く、高度のACTH分泌不全を伴うと尿量は減少し、尿崩症症状ははっきりしなくなります。この場合、副腎皮質ホルモンを補充すると多尿がはっきりしてきます。一般に口渇中枢は正常であるため、多尿に見合った飲水をしていれば脱水になることはありませんが、続発性尿崩症で口渇中枢も障害されている場合は重症の脱水をきたすことがあります。

[治療]
中枢性尿崩症では、抗利尿ホルモン(DDAVP)を点鼻することにより、尿量を調節します。また、腎性尿崩症ではチアジド系利尿薬などを用います。

あまり多い病気ではありませんが、夜尿症のある方、特に小さい頃は大丈夫でも途中で夜尿症の症状が出てきたような場合は、一応この病気も疑いますので、小児科医にとっては比較的忘れてはならない病気だったりします。このようなことを書くと夜尿のある方は、かえって心配されるかもしれませんが、いろいろと他にも症状があり、総合的な判断をしますので、むやみに心配をする必要はありませんので安心してください。

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