陰嚢水種・精索水種(10/8/30更新)

[原因]
先週述べたように精巣が陰嚢に下降してくる過程で腹膜の一部が精巣にくっついてきます。正常の状態では腹膜は本来突起状になって閉じていますが、これが閉じずに開いて腸が出入りするのが鼠径ヘルニアで、陰嚢またはその上方の精索をおおっている鞘膜に液体がたまった状態が陰嚢水腫または精索水腫です。陰嚢部の鞘膜にたまった場合が陰嚢水腫で、それより頭側の精索部にたまった場合が精索水腫です。それぞれ陰嚢、陰嚢上部や鼠径部(そけいぶ)がはれてきます。

[症状]

通常は陰嚢水腫では陰嚢に、精索水腫では陰嚢上部か鼠径部に痛みを伴わない腫脹(はれ)を認めます。硬くなく弾力性に富み、ペンライトなどで光を当てると光が透けて見えます。

[処置]
乳児では自然に治ります。生後1年までは経過を見ます。2年を越えると自然治癒が難しくなるので、手術をすることになります。鼠径ヘルニアを合併しているときには早めに手術をします。
幼児では約6割、学童では約3割が自然治癒をするといわれています。
水腫を穿刺して、液を出す方法はむしろ治癒を遅らせることがあるといわれ、普通は行われません。

陰嚢水種は乳児健診で指摘されることが多く、片側が目立って大きいこともあり、心配される方もありますが、自然治癒は95%もありますので、知らないうちに小さくなっていることが殆どです。精索水種は生後すぐは無く、ヘルニアのように数年たってから症状が出てくることが多いです。ヘルニア(腸管が入っている)か精索水種(液体がたまっている)かは、腫れている時に触った感覚で診断できることが多いですが分かりにくい場合は超音波診断が有効です。おかしいと感じる場合は受診して下さい。

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