肺炎球菌ワクチン(プレベナーPCV7) (10/3/8更新)

[どんなワクチンか?]
肺炎球菌は90種類以上の血清型に分けられますが、小児用7価肺炎球菌ワクチン(PCV7)プレベナーは、肺炎球菌の7つの血清型を含む乳幼児用の肺炎球菌ワクチンです。この7種類(7価)が肺炎球菌による重症感染症(髄膜炎・敗血症・潜在性菌血症・中耳炎など)の80%を引き起こすとされています。7つの血清型の莢膜(肺炎球菌を覆う糖の膜)それぞれに無毒化したジフテリアトキソイドを結合させているので結合型と言います。結合型ワクチンは、T細胞依存性の免疫反応を惹起することができるため、2歳未満の乳幼児でも十分な免疫をつけることができます。

[効果]
プレベナーは世界97カ国で使用されており、日本は小児用肺炎球菌結合型ワクチンを承認した98番目の国となります。41カ国で国の定期接種プログラムに導入されています。2009年1月、香港でアジアでは初めてプレベナーが定期接種に採用され、注目を集めています。
2000年からプレベナーを小児期の定期接種ワクチンとして導入した米国では、導入前と比較し、侵襲性肺炎球菌感染症*の発症頻度が5歳未満で98%減少したことが報告されました。また、定期接種として導入した米国では、間接的な効果として、このワクチンを接種していない高齢者においても侵襲性肺炎球菌感染症*の発症頻度が65%減少したことが報告されています。(*いずれもワクチンに含まれる7つの血清型によるもの)

[副反応]
「接種部が赤くはれ」、「発熱」する割合が、三種混合ワクチンやヒブワクチンに比べると少し多いようです。
国内臨床試験において認められた主な副作用
注射部位紅斑:1回目80.7%、2回目79.7%、3回目75.3%、4回目71.0%
注射部位硬結・腫脹:1回目71.8%、2回目74.0%、3回目68.4%、4回目64.5%
発熱(37.5℃以上):1回目24.9%、2回目18.6%、3回目24.7%、4回目22.5%
易刺激性:1回目20.4%、2回目18.1%、3回目14.9%、4回目11.2%
傾眠状態:1回目21.5%、2回目13.0%、3回目15.5%、4回目10.7%
注射部位疼痛・圧痛:1回目12.7、2回目16.9%、3回目7.5%、4回目13.6%

[接種費用]
1回9000円                           

[接種対象]
2か月から9歳まで
DPTやHibワクチン等と同時接種できます。 
接種開始の年齢
接種回数
接種スケジュール
生後2か月〜6か月
4回
1回目から4週(中27日)以上の間隔で2回目
2回目から4週(中27日)以上の間隔で3回目
生後12-15か月に4回目
生後7か月〜1歳未満
3回
1回目から4週(中27日)以上の間隔で2回目
12-15か月に3回目 
1歳
2回
1回目から60日以上の間隔で2回目
2〜9歳
1回
1回のみ

プレべナーはHibワクチンと違って輸入量は十分で待つ必要はなく、接種日の予約をいれて頂ければいつでも接種はできます。肺炎球菌感染症は髄膜炎になる頻度はHibよりも少ないですが、中耳炎の起炎菌としては一番多く、敗血症や肺炎を起こすと耐性菌も多く非常に治療に難渋します。ただ・・・、高いですね。やはり、今からDPTとHibと同時接種で打って頂くのがべストですが、Hibはすぐには打てず、6か月まち、たとえすぐできるとしても、3つも注射を同時に打つなんて・・・。ちょっとひかれる方が多いでしょうね…。しかも3つ同時にうつとHibが7000円、プレべナーは9000円。16000円!です。子供手当をこれにあてて・・・、という意見も多いのですが、なんとか公費負担をお願いしたいところです。海外ではDPT、Hib、ポリオの5種混合ワクチンがあり、これとプレべナー同時接種が標準のところが多いです。又、これにB型肝炎ウイルスが加わった6種混合ワクチンを接種できる国もあります。日本は本当に遅れています。今、日本でも4種混合ワクチンの開発が進められているようですが、4種目の中身は何と!ポリオです!いつになったら接種を辞めるのであろう、と思われているワクチンです。日本は生ワクチンなので、感染してしまう、という副反応が出てしまうそうです。近い将来絶滅を待っているワクチンなのですが・・・・。ちょっと日本はあまりに遅れすぎです。Hibやプレべナーは開発せず、輸入に頼るそうです。

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