新生児涙嚢炎(09/8/3更新)

[原因]
涙を出す涙腺は、目じりの側のまぶたの上にあります。涙腺で作られた涙は、目の表面をうるおし、目頭にある涙嚢に入り、鼻涙管を通って鼻に抜けて出ます。  ところが、赤ちゃんによっては鼻涙管から鼻腔に通じる部分に膜が残ってしまっていることがあります。これが先天性鼻涙管閉塞で、涙が鼻に流れることができないため、目にたまり、外にこぼれます。赤ちゃんは鼻涙管が細いので炎症が起きやすいうえに、涙嚢にたまった涙には細菌が繁殖しやすく、そうなると目やにがたくさん出ます。これを新生児涙嚢炎といい、生後間もないころから「どうも目やにが多い」「ふいてもふいても目やにがたまる」といった赤ちゃんを診察すると、実は先天性鼻涙管閉塞だったということがよくあります。しかしながら、赤ちゃんはもともと鼻涙管が細く、閉塞を起こしていない正常な赤ちゃんでも新生児涙嚢炎になることはよくあります。

[症状]
めやに、涙嚢の腫れや痛みなどの症状があらわれます。涙点から膿が出ることもあります。

[検査]
涙管通水検査:局所麻酔を行った後、目頭から生理食塩水を注入して涙点からの逆流の有無を確認します。
正常な場合は鼻の奥に生理食塩水が通過しますが、鼻涙管閉塞症の場合は逆流が起きます。鼻涙管閉塞症であることを確認し、逆流の中の膿を確認することで新生児涙嚢炎を診断します。

[治療]
目やにが出ているときは、お湯に浸した清潔なガーゼでこまめにふき取り、様子を見ます。こうしたケアでおさまれば心配いりません。しかし、目がはれたり、赤くなったり、目頭を押すとうみが出てくるようなら、眼科を受診しましょう。
新生児涙嚢炎になったら、まず涙嚢に水を通し、鼻涙管が通るようにします。この処置を1週間に1回程度と、抗菌剤の点眼薬を併用します。このとき目頭のマッサージも同時に行うと効果的です。こうしたケアを3カ月ほど続けても通らない場合は、ブジーという細い針金を目頭に通し、鼻涙管の膜を破ります。


  この病気は自然開通することが多いため、治療の方法もまちまちです。1歳になるまで鼻涙管開放術を行わないでよいとする報告や、いつでも涙が溜まった状態がお子さんのストレスになりかねないとする観点から、早めの鼻涙管開放術を勧める報告まであります。治療の方法や治療時期については、主治医とよく相談して決めることが重要です。

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