頸部の腫瘤(08/11/10更新)

[リンパ節炎]
節(腺)が集まる部位である後頭部の髪の生え際〜耳の前後〜首筋〜アゴにかけてのライン、腋の下、そけい部(足の付け根)が腫れるやすいです。これらのリンパ節は比較的からだの表面に近く変化があると容易に分かるので病気の際の目安となります。
何故腫れるかというと、体中をめぐる液に細菌が入り込んできたものを節(腺)で殺菌しようと白血球やリンパ球が集まるので、殺菌された細菌や白血球の死骸によって腫れるのです。ですので、細菌にたいする戦いが現在進行中であるということに他なりません。
腫れても大きくならないうちは痛みませんし、数日で収まりますので気がつかないことも多いです。ですが、リンパ節(腺)で細菌との戦いが行なわれている最中にも、扁桃腺が腫れていたり、口内炎があったり、皮膚に傷やとびひがあったりして、どんどん細菌がリンパ節(腺)の中に入り続けている状態が続くと大きくなってきて押したり触ると痛みを伴うほどになります。
ここまで節(腺)が腫れると病院へ行ってちゃんと診てもらったり抗生物質を飲むなりしてリンパがこれ以上ひどくならないように対処する必要があります。だいたいのケースでは数日間で治まってしまうものが多いです。
しかしたまに腫れが深刻な病気が原因で起きている可能性もありますので、節(腺)がかなり大きくなった、リンパが硬くなってきた、数が増えてきた、かなり痛みが出てきた、発熱を伴う状態が長引いている、という異変に気がついた場合はすぐにかかりつけのお医者さんのところへ行きましょう。

[他の原因]
頸部嚢胞:生まれつきあった嚢胞(液体がつまった袋状の構造)に、炎症や感染症がきっかけで分泌物がたまり腫瘤として触れるようになる。
首にけがをしたため腫れる。
唾液腺の炎症
甲状腺腫
非癌性(良性)の腫瘍(しゅよう)
まれにリンパ腫、甲状腺腫瘍、癌性(悪性)腫瘍が原因の場合もあります。

[症状]
ほとんどは症状を伴わないため、本人よりも親の方が心配することがよくあります。リンパ節や嚢胞が感染を起こしている場合は圧痛などのつらい症状を伴います。

[対応]
首のしこりの多くはウイルス性感染症によるもので治療をしなくても治るので、検査を行うのは数週間たってもしこりが消えない場合に限られます。のどの奥をこすってサンプルを採取し細菌感染症の有無を調べたり、血液検査をして伝染性単核球症、白血病、甲状腺機能亢進症、出血などの可能性を調べることもあります。X線検査やCT検査で腫れの原因が腫瘍や嚢胞でないか、また腫れの大きさや広がりを調べることもあります。皮膚の検査では結核が原因かどうか、生検では悪性腫瘍についての情報が得られます。

[治療]
頸部の腫瘤の治療は、その原因によります。リンパ節炎などの細菌による感染症が原因であれば抗生物質が役立ちます。ウイルスによる感染症や外傷による腫れは時間がたてば治ります。腫瘍や嚢胞の場合は一般に手術が必要です。

おたふくかぜかも?といってこられる場合に、リンパ節腫であることが多いですね。首が痛い、耳の下が痛い、という訴えを伴っています。痛みのある場合は上述のように殆どが急性の炎症によるもので、まず、悪性のものはありません。後頭部のリンパ節が腫れることもあり、こんなところにしこりを触れるなんて・・・とびっくりして受診される方が多いですが、これもまず、皮膚の炎症の結果のよる腫脹であることが殆どですので、心配は要りません。

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