夜驚症(08/5/26更新)
[夜驚症とは?]
夜驚症とは夜間入眠2〜3時間後に突然大きな声を出し、起きあがったり何かにおびえたように泣きわめくとともに、歩き回ったり、走り回ったりする突発性の睡眠障害の一つと考えられています。夜驚症の持続時間は大部分は数分以内と短く、翌朝、患児はこのことを全く覚えていません。
3〜10歳くらいの男児で神経質な子どもに多く見られます。この年齢での頻度は約1〜3%と考えられています。家族性の素因もみられますし、情緒障害として何らかの心理的要因も考えられています。2歳までの年齢で、夜間に泣きわめく場合は、一般的に「夜泣き」と表現されます。

[症状]
発症する時間は脳波でみると徐波睡眠期にみられます。もっとも深い睡眠相です。睡眠中に突然、恐怖におびえたようにぎゃーぎゃーと叫んだり、ベッドから飛び上がったり、部屋を走り回ったりします。頻脈、速い不規則な呼吸、発汗、瞳孔が広がるといった症状となります。ほとんど数分以内で、翌朝、子どもは全く覚えていません。

[原因]
睡眠や、情緒・感情の調節をする脳の機能がまだ幼く、昼間のストレスが消化しきれずに刺激として残り、症状が出てしまう、という見方が有力です。ストレスとは、発熱や子ども同士のけんかの他、入院や注射、慣れない場所での宿泊、反抗期の親子関係など、ちょっとした変化も子どもによっては大きなストレスになります。

[予後]
成長すると自然に治るのが普通です。脳が発達してバランスがとれてきますし、発熱や子ども同士のけんかなど、引き金になるストレス自体も減ります。熱性けいれんなどの経験があり、夢遊症がある場合は、脳波検査が必要になります。脳波に異常がある場合は、軽いてんかんが引き金になっていることもあるからです。ただ、薬でほとんどが治ります。

[対策]
普通は薬は不要です。夜起きる回数が多く、親が睡眠不足で耐えられないような場合は、睡眠導入剤をお子さんに処方することもあります。親の対策としては 夜、起き出しても、無理に目覚めさせず、優しく抱いたり、体に触れたりして安心させるのが第一。動き回ってもけがをしないように、障害物を取り除いておくといいでしょう。目覚めてから前夜のことを尋ねるのは禁物。不安を増すだけです。日頃から、ふざけたり、抱いたり、気持ちが和むような接し方を増やして、不安やストレスを乗り越えるための安心感を持たせてあげましょう。しつけは大事にしつつ、甘えさせてあげる機会を、これまでより少し増やしてもいいかもしれません。

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