はいはいを始めたばかりの赤ちゃんから、2〜3歳までの幼児は目にするものすべてが珍しく、口に入れてその性質を知ろうとします。このためとんでもない物を飲み込んだり、吸い込んだりしてしまいます。誤飲する物はタバコや硬貨が最も多く、次いで医薬品、化粧品、洗剤、文具などで、約12%に嘔吐などの中毒症状または有害な兆候が見られています。硬貨など鋭い縁がないものは待っていれば数日のうちに便と一緒に排出されます。しかし、食道の途中に引っかかっているときは、食道の壁に孔が開く( 穿孔 )ことがあるので、早めに取り出さなけれぱなりません。針やくぎなどのとがった物は、胃や腸の壁を傷つけることがあるので、すぐに医師に相談してください。 [何かを飲み込んだ時、どうするか?] 何か毒物と思われる物を飲んだ(らしい)時は、まず吐かせるのが普通です。 『コップ一、二杯の水、又は、牛乳を飲ませ、指かスプーンの柄で舌の奥の方を押さえて吐き出させます。』 ただし、
[無害な物(口に入れても大丈夫な物)] 接着剤、ボールペンのインク、ろうそく、白墨、クレヨン、グリース、ハンドローション、ハンドクリーム、口紅、機械油、マジックインキ、のり絵具、鉛筆、香水、靴クリーム、歯磨き粉、体温計の水銀、アイスノンの中身、石けん、マッチの頭、絵の具、体温計の水銀、蚊取りマット、蚊取り線香、乾燥剤、少量のたばこ(2cm以下) これらのものをなめたりした場合は受診する必要はありません。飲み込んだ場合は量にもよりますが、時に呼吸、顔色等をチェックして、気になることがあれば受診するようにしましょう。 [ボタン電池は要注意] カメラや電子ゲームに使われるボタン型アルカリ電池を飲み込んでしまった場合、多くの場合は食道や胃を通過して自然に排出されますが、時には食道や胃あるいは腸に長時間留まっていることがあります。この場合、消化液によって電池のカプセルが化学反応を起こし、穴があいて、中の鉄や亜鉛、マンガン、酸化水銀などが溶け出し、食道や胃の粘膜を傷つけて穴をあける事があります。飲み込んだ事が分かったら病院へ行って電池の位置をレントゲンで追跡してもらう必要があります。開腹手術をしなければならない場合もあるそうですから、電池を子どもの手の触れる所に置かないよう注意が肝要です。 [誤飲で多いものとその対処法]
[日本中毒情報センター] 大阪中毒100番 TEL 06−871−9999 つくば中毒100番 TEL 0298−52−9999 (上記2ヵ所で24時間交代) この中毒100番は、化学物質(タバコや家庭用品)、医薬品、動植物の毒などによって起こる急性の中毒について情報提供しています。なお食中毒や慢性の中毒(アルコール中毒など)や常用量での医薬品の副作用についての相談は受け付けていません。 (財)日本中毒情報センター・ホームページhttp://www.j-poison-ic.or.jp/にタバコの誤飲などについての情報が掲載されています。 子どもの誤吸引や誤飲は、他の多くの事故と同様に予防が可能ですから、予防に力をそそぐことが大切です。周囲に原因になりそうなものを置かないのが原則です。実生活上では完全に行うことはむずかしいかもしれませんが、乳幼児のいる部屋は整理整頓を心がけ、与えるおもちゃも誤飲、誤吸入をおこしそうな大きさのものは避けてください。乳幼児のいる部屋で喫煙をしたり、吸い殻を残すなどは論外です。 |