異物誤飲(07/11/26更新)

  はいはいを始めたばかりの赤ちゃんから、2〜3歳までの幼児は目にするものすべてが珍しく、口に入れてその性質を知ろうとします。このためとんでもない物を飲み込んだり、吸い込んだりしてしまいます。誤飲する物はタバコや硬貨が最も多く、次いで医薬品、化粧品、洗剤、文具などで、約12%に嘔吐などの中毒症状または有害な兆候が見られています。硬貨など鋭い縁がないものは待っていれば数日のうちに便と一緒に排出されます。しかし、食道の途中に引っかかっているときは、食道の壁に孔が開く( 穿孔 )ことがあるので、早めに取り出さなけれぱなりません。針やくぎなどのとがった物は、胃や腸の壁を傷つけることがあるので、すぐに医師に相談してください。

[何かを飲み込んだ時、どうするか?]
何か毒物と思われる物を飲んだ(らしい)時は、まず吐かせるのが普通です。
『コップ一、二杯の水、又は、牛乳を飲ませ、指かスプーンの柄で舌の奥の方を押さえて吐き出させます。』
ただし、
口や唇がただれてやけどになっていたり、よだれがたくさん出ている場合
腐食性の毒物(灯油やマニキュア等)を飲んだ恐れがあるので、吐かせてはいけません!!
ナフタリンを飲んだ場合
牛乳を飲ませてはいけません。(ナフタリンは、牛乳に溶け吸収が速まってしまいます。)
これらの特別な場合を除けば、まず吐かせてみます。

[無害な物(口に入れても大丈夫な物)]
接着剤、ボールペンのインク、ろうそく、白墨、クレヨン、グリース、ハンドローション、ハンドクリーム、口紅、機械油、マジックインキ、のり絵具、鉛筆、香水、靴クリーム、歯磨き粉、体温計の水銀、アイスノンの中身、石けん、マッチの頭、絵の具、体温計の水銀、蚊取りマット、蚊取り線香、乾燥剤、少量のたばこ(2cm以下)
これらのものをなめたりした場合は受診する必要はありません。飲み込んだ場合は量にもよりますが、時に呼吸、顔色等をチェックして、気になることがあれば受診するようにしましょう。

[ボタン電池は要注意]
カメラや電子ゲームに使われるボタン型アルカリ電池を飲み込んでしまった場合、多くの場合は食道や胃を通過して自然に排出されますが、時には食道や胃あるいは腸に長時間留まっていることがあります。この場合、消化液によって電池のカプセルが化学反応を起こし、穴があいて、中の鉄や亜鉛、マンガン、酸化水銀などが溶け出し、食道や胃の粘膜を傷つけて穴をあける事があります。飲み込んだ事が分かったら病院へ行って電池の位置をレントゲンで追跡してもらう必要があります。開腹手術をしなければならない場合もあるそうですから、電池を子どもの手の触れる所に置かないよう注意が肝要です。

[誤飲で多いものとその対処法]
中性洗剤
毒性は少なく、余程大量に飲ませなければ死には至らず、実際生命にかかわるほど大量には飲めません。水、牛乳、卵白、番茶などを飲ませて吐かせましょう。
タバコ
赤ちゃんがタバコを食べてしまうことはよくあることですが、死亡例は極めてまれと言われます。口の中でクチャクチャさせるだけで、飲み込む事は少ないようです。ただし、灰皿の中に水が入っていて、そこにほぐれたタバコの吸い殻が入っており、水を飲んでしまったという時は危険です。何も飲ませずに吐かせましょう!吐かせた後、病院へ連れて行きましょう!!
乾燥剤
シリカゲルのようなものですが、食べても危険はないようです。口の中がただれることがあるかもしれないので、口はゆすがせておきましょう。目に入った場合、傷つけることがあるのでよく水で洗い、その後痛みや充血が残れば眼科で診てもらいましょう。
アフターシェーブ
ローション、コロン
アルコールを含んでいるので、血糖が低くなる事がありますが、たいてい大丈夫です。
白髪染
腐食性のものを含んでいることがあります。病院へ行っておきましょう。
ヘアスプレー
大量に吸い込むと死ぬ事もあります。吸い込んだ場合は病院へ行っておきましょう。
インク
ブルー、黒は無害ですが、緑・紫・赤は大量に飲むと危険です。病院へ行っておきましょう。
ナフタリン
わずか2g食べても死ぬ事があります。牛乳を飲ませてはいけません。すぐに病院へ行っておきましょう。
トイレ洗浄剤
塩酸、硫酸などが含まれていることがあるので、飲んだ場合は病院へ行っておきましょう。
家庭用漂白剤
次亜鉛素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムが含まれている場合は危険。病院へ行っておきましょう。
マニキュア、
マニキュア除光液
量によっては危険。病院へ行っておきましょう。吐かせてはいけません!! 
少量(小児では、マニキュア液3ml、除光液1ml)でも飲んだ場合はすぐ受診。
蚊取り線香
アレスリンを含む物は危険なので、吐かせた後、病院へ行っておきましょう。除虫菊だけを含んでいるものは、安全です。
ヨードチンキ、
マーキュロ(赤チン)
ヨードチンキは30〜50ml飲むと死ぬ事があります。病院へ行っておきましょう。マーキュロは10ml程度でも死ぬ事があります。病院へ行っておきましょう。
マッチ棒
30本くらい食べても大丈夫です。100本以上食べれば中毒を起こす事があります。(まさか、そんなに食べる事はないでしょう。)

[日本中毒情報センター]
大阪中毒100番 TEL 06−871−9999
つくば中毒100番 TEL 0298−52−9999   
(上記2ヵ所で24時間交代)
この中毒100番は、化学物質(タバコや家庭用品)、医薬品、動植物の毒などによって起こる急性の中毒について情報提供しています。なお食中毒や慢性の中毒(アルコール中毒など)や常用量での医薬品の副作用についての相談は受け付けていません。

(財)日本中毒情報センター・ホームページhttp://www.j-poison-ic.or.jp/にタバコの誤飲などについての情報が掲載されています。

子どもの誤吸引や誤飲は、他の多くの事故と同様に予防が可能ですから、予防に力をそそぐことが大切です。周囲に原因になりそうなものを置かないのが原則です。実生活上では完全に行うことはむずかしいかもしれませんが、乳幼児のいる部屋は整理整頓を心がけ、与えるおもちゃも誤飲、誤吸入をおこしそうな大きさのものは避けてください。乳幼児のいる部屋で喫煙をしたり、吸い殻を残すなどは論外です。

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