副鼻腔炎(07/11/5更新)

[副鼻腔]
副鼻腔は4種類有り、目と目の間にあるのが篩骨洞(しこつどう)、おでこにあるのが前頭洞(ぜんとうどう)、頬の下にあるのが上顎洞(じょうがくどう)、鼻腔の奥にあるのが蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)といいます。全ての副鼻腔は小さな通路で鼻腔とつながっています。

[副鼻腔炎とは]
ウイルスや細菌による急性上気道炎(かぜ)に続いておこる副鼻腔の粘膜の炎症をいいます。殆どは少なくとも4週間前後までの治療で治る急性副鼻腔炎ですが、症状が続いたり、そのままで、固まってしまうと、慢性副鼻腔炎(蓄膿 ちくのう)になります。

[原因]
急性副鼻腔炎:急性副鼻腔炎はさまざまな細菌によって引き起こされるもので、副鼻腔の開口部に閉塞が生じた後によく発症します。閉塞は主に、かぜなど上気道のウイルス感染が原因で起こります。かぜをひくと鼻腔の粘膜が腫れて、副鼻腔の開口部がふさがりやすくなります。
慢性副鼻腔炎:副鼻腔炎の症状が8〜12週間以上続く場合を慢性副鼻腔炎といいます。慢性副鼻腔炎の原因は明らかではありませんが、ウイルスの感染、重度のアレルギー、環境汚染物質の影響などに引き続いて起こります。家族が同じ症状をもつ場合も多く、遺伝的素因も発症にかかわる要因の1つとみられます。

[症状]
急性副鼻腔炎:風邪をひいたあとなどに、1)頭の痛み、頭の重い感じ 2)頬の痛み、歯の痛み、目の奥の痛み  3)臭いのある鼻汁、膿みのような黄色い鼻汁(のどの方に流れることもある) 4)鼻づまりなどがみられます。
慢性副鼻腔炎:通常、急性副鼻腔炎に比べてかなり軽く、痛みも急性の場合ほどみられません。鼻づまり、鼻の充血、鼻汁がのどに回る後鼻漏などがよくみられる症状です。黄色や緑色をした鼻汁が出たり、嗅覚が低下することもあり、全身のけん怠感が生じることもあります。

[小児の副鼻腔炎の特徴]
副鼻腔は生まれつきあるものではありません。骨の発育とともに、徐々に空洞が大きくなり、形作られるものです。
例えば、上顎洞でくらべてみますと、大人では、ほお全体に拡がり、クルミ大くらいの大きさの空洞になっていますが、2・3才の幼児では、小指の先ほどの、ほんの小さな空洞です。また、鼻腔と上顎洞とのつながりは大人ではごく小さな穴でつながっているだけですが、幼児では上顎洞がまだでき始めのため、鼻腔と区別がつけにくい程、広くつながっています。小児と大人の副鼻腔炎を比べると小児は鼻腔と副鼻腔とのつながりが広いため、簡単にバイ菌が侵入します。また、空洞が狭いため、すぐに膿が一杯になって、鼻腔にでてきます(青バナ)。つまり、小児の副鼻腔炎は
・風邪など、ちょっとしたきっかけで、なりやすい(繰り返しやすい)。
・青バナが多くでる。
・治りやすい(慢性化しにくい)
大人では小児と全く逆の特徴となります。つまり、副鼻腔炎にはなりにくいが、一旦なると治りにくいということがいえます。

[治療]
急性副鼻腔炎の治療は、副鼻腔にたまった分泌液の排出と、感染の治癒を主眼に行われます。血管を収縮させるスプレー式点鼻薬は、短期間に限って使用します。同様の作用をもつ内服薬は、それほど効果がありません。急性・慢性いずれの場合でも、副鼻腔炎には抗生物質を用いますが、慢性の場合は長期間の服用が必要です。ステロイドのスプレー式点鼻薬や錠剤は粘膜の炎症を抑える効果があります。明らかなアレルギー症状がみられる場合は、抗ヒスタミン薬も症状の緩和に有効です。食塩水による鼻洗浄は、副鼻腔を清潔にして湿った状態に保つのに役立ちます。抗生物質の効果がみられない場合は手術を行い、副鼻腔内を洗浄して洗浄液の培養検査を行ったり、副鼻腔からの排膿を改善することによって、炎症を抑えます。

いわゆる蓄膿といわれるものは随分減ってきているようですが、小さいお子さんの鼻汁がなかなか治らない場合は、副鼻腔炎を考える必要があることが多いようです。1歳までのお子さんは殆ど副鼻腔は発達していないということですが、ハナがあり後鼻漏のせいで咳が治らないことも多いですので、あまり汚いハナ水が治らないようでしたら、耳鼻科に受診されたほうが良いかも。

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