乳児突然死症候群(06/9/25更新)

[疫学]  月齢2〜4カ月の乳児に最も多く起こります。この症候群は世界的にみられます。SIDSは、早産児、出生時に体が小さかった乳児、以前に蘇生法を必要としたことがある乳児、上気道感染症のある乳児などに、より多くみられます。理由は不明ですが、黒人とアメリカ先住民の乳児はこのリスクが高くなっています。また、低所得家庭の乳児、母子家庭の乳児、母親が妊娠中にタバコや違法薬物を使用していた乳児、SIDSで死亡した兄弟姉妹がいる乳児でも、比較的多くみられます。出生2000人に1人、年間600〜700人の乳児が死亡していましたが、平成14年285人と少しですが減少傾向にあります。

〔原因〕  SIDSの原因は不明です。呼吸のコントロールに異常があるためとも考えられます。SIDSの乳児の一部では、血液中の酸素量が低かったり、呼吸の一時停止などの徴候がみられます。乳児をうつ伏せに寝かせることも、SIDSと関連があるとされています。睡眠時に起こる無呼吸から回復する防御機構である覚醒反応が何らかの理由(未熟児・感染・気道の狭窄など)で遅延すると、ますます低酸素状態となり、呼吸が抑制され、悪循環に陥り死亡すると考えられています。つまり、本症は事故ではなく脳における呼吸循環調節機能不全が原因であろうと考えられていますが、単一の原因で起こるかどうかの点も含め、未だに不明とされています。

〔危険因子〕  本疾患は国や地域によって発生率が異なることが知られており、その違いに育児環境の差異が関係しているのではないかとの説があります。その中でも、国内外の研究において危険因子の可能性が疑われているものとしては、(1)うつ伏せ寝、(2)人工栄養哺育、(3)保護者などの習慣的喫煙、(4)児の暖めすぎ、等が挙げられています。しかし、我国では、「児の暖めすぎ」を第4の危険因子と認めるに至らなかったとしてこの「暖めすぎ」を省き、それ以外の6の3項目をSIDS発症の危険性を低くするための留意点として発表されています。

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