[症状] 虫さされによって生じる皮膚症状には、大きく分けると「痛み」と「かゆみ」があります。痛みには、虫が皮膚を刺したり咬んだりすることによる物理的な痛みと、皮膚に注入される物質の化学的刺激による痛みがあります。かゆみは、皮膚に注入された物質(毒成分や唾液腺物質)に対するアレルギ−反応によって生じます。そして、アレルギー反応には主に即時型(すぐに起こる)反応と遅延型(ゆっくり起こる)反応があります。即時型反応は、虫の刺咬を受けた直後からかゆみ、発赤、ジンマシンなどが出現し、数時間で軽快する反応です。一方、遅延型反応は、虫の刺咬を受けた1日〜2日後にかゆみ、発赤、ぶつぶつ、水ぶくれなどが出現して、数日〜1週間で軽快する、という反応です。これらのアレルギー反応は、虫に刺された頻度やその人の体質によって症状の現われ方の個人差が大きいのが特徴です。
なお、最近では海外から様々な生き物(サソリなど!)が輸入され、ペットとして飼われていますので、これらの生き物によって被害が生じる可能性もあります。また、近年ではセアカゴケグモのような毒グモが定着している地域もあり、咬まれると局所の痛みだけでなく筋肉痛や吐き気、頭痛などの全身症状をきたすことがあるとされています。 [治療] 虫さされの治療は、軽症であれば市販の痒み止め外用剤でもよいですが、赤みや痒みが強い場合はステロイド外用剤が必要です。症状が強い場合は抗ヒスタミン剤やステロイド剤の内服が必要になるので、受診するのがよいでしょう。ただ、これらの治療はあくまで現在の皮疹を抑えるのが目的であり、原因虫からの回避、あるいはその駆除対策を実施しなければ皮疹の新生が続きます。 日本に生息している虫には、ヒトの生命を脅かすほどの猛毒を持つ種類はほとんどいません。しかし、刺された後に強いアレルギー反応が起こって、全身にジンマシンが出たり、気分不良や腹痛、意識消失などが生じることがあります。特に注意が必要なのはハチで、中には刺されて30分以内にショック症状をきたす特異体質の人がいますので気をつけて下さい。最近はショック時にそなえて、エピペンという皮下注射薬を処方することがあります。 実際には、発疹を見て何の虫に刺されたか、という事を診断するのは難しいですね・・・。家の中でいったい、何の虫がいたのか?と思うぐらい、腫れのひどいケースもありました。強い全身症状が出る可能性があるのは、ハチの場合ですが、かならず全員がショックを起こすわけではありませんので、いたずらに不安にならなくても良いとは思いますが・・・。
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