チック症(05/9/12更新

  この病名は殆どの皆さんがご存知かと思います。比較的年齢の小さいお子さんにも見られるようです。今週はこのお話をします。

〔症状〕  ピクピクっとしたすばやい動きなどが、本人の意思とは関係なく、繰り返し起きてしまいます。一番多いのは瞬きで、そのほかにも肩をぴくっと動かす、頭をふる、顔をしかめる、口を曲げる、鼻をフンフンならす、などいろいろあります。声を出すものもあります。ため息のような声や、咳払いが目立ちます。中には意味のある言葉(それも汚い言葉)を絶えず口にすることもあります。いずれも本人はわざとやっているわけではなく、止めようと思っても止まりません。
多発性のチックをおこし、慢性に経過するものをトゥレット症候群と呼んでいます。このチック症状は良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴で、患者さんの多くは10代後半から症状が改善し、3分の1の患者さんは大人になるとチックの症状は出なくなります。発症頻度は1000〜2000人に一人と考えられ、3〜4:1で男性に多く見られます。多動性障害や強迫性障害を高率に合併します。

〔原因〕  不安、ストレス、緊張、心の葛藤などがきっかけでおきることが多いと言われていますが、そのようなことがなくてもおきる子もいます。例えば、結膜炎のために目が痒くてパチパチしていたのが「くせ」になっていたり、テレビの見すぎ、ゲームで目が疲れたことをきっかけにして始まることもあります。
トゥレット症候群はこのような心理的原因ではなく、脳内神経伝達物質であるドーパミンの過剰活動が原因と考えられ、さらにセロトニンの関与も示唆されています。家族内での発現頻度が高いので、遺伝的な要因も強いです。しかし、単発例もあるので、環境因子も症状の憎悪に関係していると考えられます。

〔治療〕  精神的なストレスや緊張感から、一時的にこのような症状のでる子は、その殆どが短期間に消えていきます。ですから、できるだけリラックスさせてあげることが必要です。注意したりしかったりしないでそのままにしていて下さい。チック症も程度の強いもので、本人も気にして、その為に余計症状が強く出ているような場合は、お薬で抑えることもあります。だいたいは短期間で症状がとれていきます。なかなか良くならない場合は、周りがきちんとさせようとしてこじれているようです。
トゥレット症候群の場合は薬物療法が基本です。他にチック症状や合併障害をもちながら成長していけるように、精神療法も行われています。合併障害によっては薬の効果も逆に働く場合もあり、一人一人によって慎重に投薬する必要があります。改善しますが、完治、というのは難しいようです。

チック症は長引いたり、症状が強かったりしなければ、ストレスを減らしてゆっくり見守ってあげるのが一番ですね。慢性に経過する場合は、受診するようにして下さい。

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