慢性疲労症候群(05/9/5更新

 疲れている子供達、を見る機会は増えています。「だるい」「疲れる」「やる気がでない」「眠れない」状態が次第に「朝起きられない」「一日中ボーっとしている」につながり、重症化すると小児型の慢性疲労症候群としての、不登校状態にいたってしまうことがあります。成人の慢性疲労症候群とは症状の一部に微妙な違いもあるようですが、今週はこのお話をします。

〔病態〕  日常生活を支える活動エネルギーが消耗あるいは枯渇した状態です。初期にはエネルギー低下に伴い活動性が低下し、「だるい」「疲れる」という訴えと、頭痛、腹痛、動悸、めまい、異常な発汗などの自律神経症状が現れます。その結果、食欲、ホルモン分泌、体温調節、睡眠の機能にまで問題が生じ、日常生活、学校生活が困難となり、自らの意思に反した不登校状態になります。

〔症状〕  集中力が低下し、易疲労性・疲労感が強い。学習・覚える機能が低下する為勉強が全く手につかなくなる。こういう状態が6ヶ月以上続く。全く健康だった子供が、突然、全身の疲労に襲われ、それが長期に続きいろいろな症状を伴い健全な学校生活が困難になる・・・ということですね。

〔原因〕  大人の場合はウイルス説、うつ病説などいろいろと言われていますが、ストレスがそのきっかけであることも多いようです。多くの子供たちに共通するストレス背景は、競争社会での過緊張とがんばり、自己抑制的なよい子生活、慢性的な睡眠不足、これらの条件に重圧となる責任(代表選手、キャプテン等)、ハードな部活動、人間関係のトラブル、その他のライフイベントが加わると子供たちの脳の処理能力をこえたストレスとなり、慢性疲労状態が作られるようです。すなわち持続的な不安・緊張状態が中枢神経に消耗をもたらしていくようです。

〔診断〕  他に病気が無いという鑑別のための検査は必要です。疲労を訴えるその他の病気には、甲状腺疾患、糖尿病、貧血、白血病、肝疾患、慢性感染症、起立性調節障害、うつ病、まれに脳腫瘍などがあります。 一般的な検査で説明のつかない易疲労性があるときに、「気力の問題」「怠け」などではなく、慢性疲労症候群である可能性があります。                                                 

〔治療〕  日常生活が維持できている初期の段階で、慢性疲労症候群として対応することが大切です。基本となるのはゆったりと休養しストレスから開放されることです。睡眠障害にたいしては薬物治療を行うこともあります。不安感が強いには家族と同じ部屋で休むなどの配慮も必要で、精神安定剤を使う場合も多いようです。

  からだがだるい、疲れやすい、それが半年以上も続く時、検査をしても何も異常がない・・・。訳の分からない不調と先の見えない不安にあせり、いらいらされることでしょう。十分な休養と、時には医学的な治療で、かなり時間はかかるでしょうが、打開の道はきっとあります。

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