過敏性腸症候群(05/7/11更新

  先週は便秘のお話をしましたが、今週は便通がうまく起こらない状態になる過敏性腸症候群という病気のお話をします。あまりこの病名を聞かれた事は無いかもわかりません。特に若い女性などに非常に多い病気なのですが、小学生でもみられます。

[病態]  大腸や小腸に原因となる異常が見つからないのに、便通異常と腹部症状が続く病気です。

[症状]  腹痛、腹部不快感や下痢、便秘などの便通異常です。下痢型と便秘型があります。
下痢型:しょっちゅうおなかが痛くなり下痢をする。緊張したり、電車に乗った時におこったりします。
便秘型:便秘が続き、排便の前におなかが苦しくなることが多い。出てもうさぎの糞のようなコロコロとした固い便しか出ない。
下痢と便秘を交互に繰り返す人も多いです。
他におなかが張った感じがする。おなかがゴロゴロなる。便が残っている感じがある。おなかに不快感がある。胃がむかつく。ゲップが多い。食欲が無い。吐き気がある。といった症状を訴える人もあります。

[治療]  この病気はおなかの中に何か問題があるわけではなく、腸の動きに問題があります。緊張などの精神的なことが原因になることも多いため、心理療法が有効です。ただ、子供さんに対して、リラックスさせたり、自律神経を鍛えるといった心理療法は少し難しいかも分かりません。食生活の乱れから起こることも多いですので、きちんとした食習慣はつけるようにして下さい。ポイントは朝食は抜かない、1日3回決まった時間に食べる、早食い、まとめ食いはしない、夜遅くの飲食は避ける、ことですね。そういった方法で良くならない場合は薬物療法になります。


  長く続く便秘や下痢は、重大な病気が隠れている可能性もあります。一般的に子供の場合は悪性のものは少ないですね。この病気は特に小学校高学年からの女の子に多いようですが(最近は低学年や幼稚園児でもそうかな?と思える症例もありますが!)、何かストレスになるようなものが無いか、原因を捜すこと。そして長い目で見て頂ければいずれは治りますので、ご心配はありません。

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