便秘症(05/7/4更新

  便秘について相談を受ける事は多いですね。大人の便秘と子供の便秘は違う点も多いです。小児は腹筋が弱く、排便反射が未熟な為、何かがきっかけになり便秘になることがよくあります。乳児の場合は便が硬くなることもなく、機嫌もよい場合は問題はありません。子供の場合は排便回数が減り、腹痛や排便困難を伴う場合が便秘症となります。

[原因]
  食事性便秘:母乳又はミルク不足による摂取量不足。これは体重の増加曲線を見て、母乳が足りていないのか、食欲が落ちているのか、原因を調べる必要があります。小児の場合は偏食などによる低残渣食。スナック菓子の食べすぎは要注意ですね。
  心因性便秘:ストレスなどにより腸の動きが悪くなってしまう状態です。子供さんの場合は意識せずに排便制止をしてしまうので、コチコチの糞塊になってしまいます。早めに原因を探さないといけませんね。
  病気による便秘:まれですがヒルシュプルング病(巨大結腸症;生まれつき排便に必要な神経叢の欠如で、排泄時の蠕動運動がおこらず、ガスがたまり通過障害が起こって結腸が巨大化してしまう病気)の軽度のものだと、ある程度の年齢に達するまでわからないこともあります。いつも浣腸しないと出ない場合はこの可能性もあるかもしれません。小児慢性便秘症の2〜5%くらいにあります。他には肛門裂傷、ごくまれに二分脊椎などが隠れているかもしれません。
  薬による便秘:市販のかぜぐすりの中に、便を硬くする作用の薬が入っていることもあります。腹痛止めの薬や制酸剤も便秘になりやすくなりますので、注意して下さい。
  機能性便秘:食事にも気をつけ、原因は無いのに便秘が続く場合で、原因としてはこれが最も多いですね。慢性的に便を貯めると直腸が拡大して、直腸壁の伸展刺激による便意が起きにくくなり、さらに便が貯まり悪循環となります。

[治療]
  直腸を空っぽにする:粘土状の糞塊がつまっている場合は、直腸が伸びきって便意が生じなくなります。又裂肛の痛みの為に排便をやめてしまいます。定時の浣腸で繰り返し排便させることにより、直腸の拡大をとって便意を思い出させることが出来れば、引き続いて排便習慣を学習することが可能になります。
  トイレの習慣をつける:排便反射の弱い乳児は、綿棒による肛門刺激が有効です。小児の場合は1日の決まった時間にトイレに座らせることは大事です。時刻は朝食後か夕食後(できれば冷たい牛乳を飲んだ後)長くても10分以内、これ以上座っても駄目です。3ヶ月続けると排便習慣ができてきます。1日に2回座ってみても良いですね。
  食事療法:軽症の場合は食事指導だけで改善します。長期的に見るとこれが一番大切です。残渣の多い(繊維成分が多いもの)食物と水分を摂ること。夏は特に大事です。具体的には、プルーン、キンピラ、とうもろこし、枝豆、海草類、コンニャクゼリーなどですね。
  薬物療法:それでも出ない時は薬を処方します。効き目のゆっくりなものを使います。小児科では量の調節しやすいラキソベロン液を使うことが多いです。

  便秘ぐらい・・・と考えがちですが、放っておくとますます治りにくくなります。原因は不明で、治るのには時間がかかりますが、気長にお子さんと一緒に排便習慣をつけるようにして下さい。 

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