腸 重 積


  この病名を緊急を要する病気として、聞いたことのある方は多いでしょうか?1年間に1人診るか診ないか・・・ぐらいの頻度ですが、異常に気付いたら、急いで受診する必要があります。

[病態]  腸が腸の中に潜り込み、腸が畳み込まれたように二重の状態になる病気です(図参照)。小腸の終わりの部分の回腸が大腸に入り込む場合が多いです。腸が詰まって働かなくなり、腸閉塞の状態になります。生後4ヶ月くらいの乳児からみられますが、2,3歳の子供も多いです。

[原因]  その殆どははっきりしません。腸に分布しているリンパ組織がはれて大きくなり、この部分から大腸に入っていくと考えられています。リンパ組織が大きくなる原因としては風邪のような症状をおこすアデノウイルスや、下痢の原因となるロタウイルスの感染が指摘されています。約4分の1の腸重積の子供に風邪の症状が見られるようです。

[症状]  腹痛、嘔吐、血便の3つの症状が特徴ですが、乳児の場合は腹痛は訴えませんので、機嫌が悪く、周期的に泣いて嘔吐することが繰り返される場合は要注意です。血便は最初からは見られず、浣腸して便を見て初めて分かる場合もあります。診察の際に腸が重なっている部分の塊を触れたり、腸のある場所が移動するので、さわっておかしい感じがあります。これは医者が診ないと分かりませんが・・・

[治療]  肛門からバリウムなどの造影剤を高圧で注入して、圧力で腸重積を元の状態にもどす方法です。最近はレントゲンではなく、超音波で診断、治療する施設もあるようです。腸重積になったと思われる時間から24時間以内なら、8割はこの方法で整復できます。しかし、時間がたっていたり、24時間以内でも2割前後のお子さんは、手術によってでないと整復できくなります。いずれにしても大きい病院での入院加療が必要になります。


  典型的な症状のある場合はいいですが、感染性胃腸炎でも、腹痛、嘔吐、血便は見られることがありますので、診断の難しいことが多いです。緊急性を要する疾患ですので、おかしいと思ったら早めに受診するようにして下さい。離乳食を食べだした年齢から1歳前後が多い、といわれていましたが、3歳くらいの子供さんでもありますので気をつけてください。

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