中 耳 炎

  どちらかというと耳鼻科の疾患になるのですが、小児科に受診して中耳炎が分かる事も多いので今週は、少しこのお話をします。
〈耳の構造・耳管〉
  耳管とは、鼻と中耳をつなぐ管です。
  普段は閉じていてあくびや嚥下時に空気が通ります。
  中耳の換気と気圧の調整をしています。


急性中耳炎

[原因]  細菌による化膿性中耳炎です。殆どの場合、風邪をひいたあとにのどや鼻にいる細菌が耳管を通って中耳に感染して起こります。

[症状]  耳痛、発熱、耳だれ、時に難聴。普通は風邪の症状が先行します。乳児の場合は、夜泣きがひどい、首をさかんにふる、耳に手をやる等です。夜中に突然の耳痛で眠れない時は、とりあえず家にある鎮痛剤(解熱剤の坐薬が使えます)を与えて、翌日耳鼻科に受診してください。

[治療]  抗生物質、消炎剤などの薬物療法です。滲出性中耳炎に移行する事も少なくありません。薬が効きにくい菌もあり長期化する例も多くなっています。処方された抗生物質はきちんと飲んでください。
鼓膜切開が必要な時
  (1)耳痛・発熱などの急性症状の強い時
  (2)すでに耳漏があるが排膿が不十分で症状が持続する時
  (3)急性症状・所見がなくなったのに、中耳に貯留液が残っている時などです。

滲出性中耳炎:中耳に液体が貯留している状態をいいます
[原因]  耳管による換気が妨げられた結果起こります。幼少時では鼻炎、副鼻腔炎、アデノイドが原因になります。急性中耳炎の治療が不完全で中耳に貯留液が残る場合も多いようです。高齢者では耳管機能低下、鼻、のどの腫瘍も原因となります。

[症状]  難聴、耳閉塞感、耳鳴りなど。乳幼児は普通殆ど症状を訴えませんので、聞き返しが多かったり、テレビに近づいたり、耳が聞こえにくいのかな?と思う事があれば滲出性中耳炎があるかもしれません。

[治療]  原因となった鼻、のどの病気の治療をすることが大切です。耳管通気による中耳の換気。時に鼓膜切開にて排液。難治例には鼓膜に換気チューブを留置。小児の滲出性中耳炎は10歳前後で自然に治癒する場合が多いようですが、それまでは繰り返しやすいですので、定期的に診察をうけて分泌液が溜ればその都度排除する必要はあります。慢性中耳炎に移行しないようにしかっり診てもらって下さい。

  急性中耳炎でも鼓膜の炎症の強くない時は、小児科で抗生物質の服用だけで治る事も多いです。耳鼻科に行くのが怖くて泣くので・・という理由で小児科で薬を出すことはありますが、炎症の強い時、耳漏のある時は耳鼻科で処置をしてもらわないといけないですね。急性中耳炎の治療が不十分で滲出性中耳炎になる事もありますので。ただ、滲出性中耳炎は治りにくいので、小児科は専門外なのですがよく相談をうけます。チューブを入れるべきなのか云々・・・。あまりどういう方法がいいか等は小児科医には分からないですが、いろんな耳鼻科のお医者さんに診てもらって一番いい方法を探すのも一つの手かもしれません。

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