鼻 出 血

  鼻血がよく出るのですが・・・といってこられるお子さんは多いですね。60%の人が一生のうちに一度は鼻出血の経験を持っているといわれています。でも、その為に治療が必要になることは、その中の6%程度で、殆どが治療を必要としない一過性の鼻出血であるといえます。

[原因]  最も多いのは鼻ほじり、鼻いじりにより、粘膜に傷がついて起こるもの。花粉症などのアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎があると、鼻がむずむずする為、鼻を触りすぎて出血が起きやすく、繰り返したりします。小児の場合は、豆類やおもちゃなどの異物を鼻に入れて出血することもあります。他に鼻中隔湾曲症があったり、乾燥、気圧、血圧の変化でも起こりやすくなります。良性の鼻ポリープや稀に癌、血管繊維腫などでおこることもあります。血液の病気や肝硬変、腎不全などで出血しやすくなりますが、この場合はかなり止血しづらく、大量に出血することが多いです。生理の時や、貧血時に鼻出血が起こる事もあります。

[症状]  普通は左右どちらか片側からの出血になります。太い血管が切れると血液が後鼻腔をまわって反対側から流れてくる為、両側からの出血に見えます。出血が咽頭に広がると痰とともに口腔から出てくるので肺から出血しているように見えます。のどから食道、胃の中に出血が落ちると多量の血性吐物として嘔吐することがあります。吐血した!といってあわてて受診される方がありますね。子供さんで吐血した場合、よく聞くと前の晩に鼻血がでて、そのまま眠ったということが殆どです。出血の量はやや多いようですが。大量に出血すると、顔面蒼白、意識混濁します。ここまで大量に出ることはまずないですが、鼻腔の深部から出血する場合は止血が難しいので、すぐに受診する必要があります。

[処置]  椅子に腰掛け、やや下を向かせる。ガーゼ、ティッシュなどを鼻腔につめて、鼻翼(小鼻)のやや上の部分を両側から指で強く圧迫する。口で呼吸させ、10〜15分押さえておけば普通は止まります。綿栓を詰めた場合は、止血したと判断しても20〜30分は抜かないで下さい。

  耳鼻科的な処置では、薬品や電気凝固器による焼きつけがあります。出血しにくくするには良い方法ですが、止血した後のかさぶたができ、何日か後にこれが取れるときに再び出血することもあります。このために一度の処置で完全に止血してしまうことはなかなか困難なようです。他に入院が必要な重度の出血の場合は鼻の奥にガーゼを詰める止血法や、手術で顎動脈などにクリップをかける方法もあります。
 
一度のすぐ止まる出血の場合は殆ど受診されることはないでしょう。これが週に1回はおこる、とか何度か繰り返す場合に来られることが多いです。夏場はプールで何回も潜った、というのが原因になることがあるので、夏に来られる方が多い気もします。いずれにしてもお子さんの場合は殆どが、鼻の粘膜が弱い・・・というのが原因で問題はありません。出血が止まりにくかったり、顔色が悪いような場合は全身の病気を考えて検査をした方が良いでしょう。


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