ゆさぶられっこ症候群


 この病気のことを聞いたことのある人はまだ少ないでしょうか・・・。アメリカで30年ほど前から報告されるようになりました。今週はこの病気について質問を受けたので、少しお話したいと思います。

[ゆさぶられっこ症候群とは?] 乳幼児を強く揺さぶり続けたり、頭頸部に強い衝撃を受けると、脳と頭蓋骨の動きにズレが生じて間をつないでいる血管が切れてしまうことがあります。この状態をゆさぶられっこ症候群といいます。
 (1)網膜出血 (2)硬膜下血腫又はくも膜下出血 (3)体表の外傷が軽微またはない。この3つが診断の特徴です。

[症状] 急性の場合には意識を失い、最悪の場合は死亡するケースもあります。急性で無い場合でも、食欲がなくなる、吐き気、機嫌が悪いといった症状がでます。外傷が無い為に外見からは判断がつきにくく、医師も親も気付かないうちに死につながる可能性があるので、日本でも1990年代から話題になりました。

[原因] 乳幼児は体の大きさに対して頭が大きく思い上、筋肉も弱いので支持力がありません。脳が未発達のため頭蓋骨の下のスペース(くも膜下腔)が大きく、脳表面の血管も弱いので、揺すられることによって頭頸部が動揺し、血管が切れてしまいます。虐待によるものが多いのですが、赤ちゃんに「たかいたかい」しても起こったという事例があり、注目をあびました。普通に揺らしただけで出血が起こった症例は無いわけではありませんが、基礎疾患として脳の病変があれば、少し揺すっただけでも出血が起こることはあるようです。揺することだけで起こるのではなく、揺すった後に打撲したりするのも問題のようです。

[危険なあやし方] (1)空中に投げ上げる、乱暴に高く「たかいたかい」をする (2)ゆらゆらと20分以上揺さぶり続ける (3)赤ちゃんの上半身をぱっとはなしてさかさまにする、など
 あかちゃんを揺さぶってはいけないということはありません。少なくとも1歳を過ぎるまでは、「たかいたかい」をしたり、不必要に強く揺さぶらないように気をつければ大丈夫です。赤ちゃんをかわいがってゆすってあやすおじいちゃんやおばあちゃんに辞めて・・・というほどのことはありませんので。

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