夜 尿 症

 夜に寝ながら何回もおしっこをしてしまう、夜尿症の話をします。夜尿症とは4〜5歳以後に少なくとも月に1回以上のおねしょがあるものをいいます。

[頻度] 夜尿は5歳児で10〜15%、7歳児でも10人に1人、10歳児でも20人に1人くらいはみられ、どの年齢でも男児が2〜3倍多いことが知られています。5歳以上の自然治癒率は15%、13歳くらいまでには殆ど自然治癒します。

[分類]
一次性夜尿症:赤ちゃんの時から続いていて、途中に夜尿症が無い時期が無かった。(約8割がそうです)
二次性夜尿症:一度完全におねしょをしなくなって、数ヵ月くらいで又起こり始めた。特にこの場合には、糖尿病、尿崩症などの病気による事もあり、必ず医師と相談することが必要になります。又、精神的なことが原因で起こっている事もあります。

[治療]
治療の3原則
「あせらない」 あせっても早く治るものではありません。おしっこの習慣の発達には個人差があります。義務教育が終了する頃には自然に治りますので、のんびりしたおおらかな気持ちで見守ってあげて下さい。
「おこらない」 叱ってしまうと本人も気にしていますので、劣等感を助長し、自主性や意欲を減退させることになりかねません。情緒の不安定から緊張につながり、夜尿を引き起こしことにもなりますので、やさしい気持ちで接し、安心させてあげて下さい。
[起こさない」 夜中に起こしてトイレに行かせることは睡眠リズムを狂わせ、本来深い眠りが持っているおしっこを濃くするホルモンの分泌の高まりや、排尿機能の発達を妨げる結果になってしまいます。又、本人が自分で目を覚ましてトイレに行かない限りは、結局寝ながらおしっこをしているのと同じ事になります。

治療開始まで
1) 6歳くらいまでは温かく見守る。3原則を守ると自然に治る例が多いとされています。
2) 8歳くらいから上になると、まず本人も気にするようになります。まず何か病気が無いかを調べますが、8〜9歳以上で小学校高学年になっても一次性や尿の続く場合は、薬物などの治療が必要になります。

具体的な治療
1. 水分摂取のコントロール:夕方からは水分の摂取を制限します。水分だけでなく塩分も控えめにすることが大切です。
2. 膀胱機能訓練:日中、お休みの日などを利用して、尿を溜める練習をします。おしっこを我慢する時間をゆっくりのばしていきます。おしっこを途中で止める練習も効果があります。
3. ストレスへの対処:精神的なストレスがある場合、子供の立場に立って一緒に考えたり、問題に取り組んだりしてあげて下さい。
4. 条件反射を利用した治療法:夜尿をしてしまったら、すぐに起こすということを繰り返すことで、おしっこをしそうになったら目が覚める、という条件反射を作っていくという治療法です。おしっこで布団がぬれたらブザーが鳴る装置とブザーが鳴ったらすばやく起こすという両親の根気強い協力が必要です。
5. 薬物療法:通常、眠りを浅くさせて目がすぐ覚めるようにするという薬物(三環系抗うつ剤)が使われます。抗利尿ホルモンや漢方薬などを使うこともあります。

 いずれにしろ専門的な知識と経験が必要ですので、あせらず、自分たちだけで解決しようと思わず、相談するようにして下さい。特別専門医への紹介がいる事もあります。子供には個人差があること、長い目で見ると必ず治ると信じて下さい。

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