食中毒の特徴

 細菌性腸炎(食中毒)は便や血液から細菌や生産される毒素を検出することで診断するのですが、それには時間がかかりますので、症状、飲食歴、渡航歴、家族等同じ飲食、飲水を行った人の症状の有無、など診察によって診断を絞り込まないといけません。食中毒の特徴をまとめてみました。


病原菌名
臨床症状



原因となる
主な食品・媒介物










便


便


便
サルモネラ   1〜5日 鶏肉等肉類、卵・卵料理、レバ刺、自家製マヨネーズ等
腸炎ビブリオ       12〜24
時間
生食の魚介類、酢の物、まな板、包丁
ブドウ球菌       1〜5
時間
調理者を介して感染しやすい。おにぎり・いなり寿司・乳製品、惣菜等
腸管出血性大腸菌     数日 加工食肉製品(牛肉・挽肉・レバー)、生野菜、ハンバーガー、井戸水等、
病原性大腸菌     1〜数日 水耕野菜類(井戸水使用)
カンピロバクター     1〜10日 肉類(加熱不十分な鶏肉)、汚染された犬・猫・小鳥の糞
ボツリヌス           18時間
前後
肉類の缶詰・瓶詰め・真空パック、蜂蜜、からしレンコン
ウェルシュ         8〜22
時間
食前不加熱で大量に調理された食品。大鍋料理、真空包装商品
セレウス嘔吐型                1〜6
時間
穀類、香辛料
セレウス下痢型           8〜16
時間
加熱後放置したご飯・麺類・スープ
コレラ           1〜3日 糞尿等で汚染された飲料水、食物
赤痢     1〜5日 糞尿等で汚染された飲料水、食物
エルシニア         2〜3日 糞尿に汚染された食肉、飲料水、井戸水
リステリア             24時間
〜数週間
未殺菌チーズ・食肉・刺身・サラダ

 実際の診療では、飲食店などでの大量の食中毒患者さんを診ることはあまりありません。細菌が便中から検出されても、家族の中では1人だけということが殆どです。お子さんの便から細菌が出た場合は、処理した時には手洗いを充分して二次感染を防ぐようにして下さい。


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