日本脳炎

 暑くなってくると、日本脳炎の予防接種に来られる方の数が増えてきます。日本脳炎は1992年以降は毎年10人以下の報告を見るのみに減少しています。でも東南アジアの地域等ではまだまだ多いです。今週は日本脳炎のお話をします。

 

 

[原因] 日本脳炎ウイルス。日本脳炎ウイルスに豚が感染します(症状は出ない)。ウイルス血症をおこした豚の血を吸ったコガタアカイエカに人が吸血されることにより感染します。人から人にはうつりません。日本脳炎になった人の血を吸った蚊から感染する事もありません。潜伏期間は蚊に刺されてから、5〜15日です。

[症状] 脳炎の発症率はウイルス感染者300〜3000人に1人くらいで、多くは不顕性感染で、うつっても症状は出ません。

頭痛、発熱より発症します。嘔気、嘔吐、腹痛、下痢といった消化器症状が初発症状になることもあります。進行するとさらに高熱、項部硬直、筋硬直などの髄膜炎の症状がでてきます。重症例では意識障害、痙攣、昏睡がみられるようになり、死に至ります。

[治療] 日本脳炎に対する抗ウイルス薬はありません。対症療法のみです。一般的に日本脳炎患者の約1/3は死亡するといわれていますが、管理により20〜50%くらいと幅があります。高齢者や高熱の続く患者さんは死亡率が高いです。又、死亡を免れた場合も、半数近くは重い後遺症を残します。

[予防] 日本脳炎ワクチンは有効で安全です。ただし、効果は4〜5年しか持続しませんので、追加接種が必要です。日本では予防接種のおかげで子供罹患は殆どありませんが、大人になると効果が無くなってくる、という事ですが、重症化しやすいのは、幼児ですので、大人への接種は感染地域に行く時だけでいいと思われます。日本でも北海道では日本脳炎の発生がないので、予防接種は行われていません。最近は転勤などで転居した時に、基礎免疫ができていなかったり、追加接種が受けられない・・・という問題があるようです。

 日本脳炎ワクチンを受けていない、というお子さんは結構多いですね。勿論私も一度も見たことの無い少ない病気にはなっていますが、完全に無くなったわけではありません。かかると怖い病気ですから気がついた時点で受けるようにして下さい。7歳半までは300円の自己負担金だけで受けられます。それ以降は有料になります。4年生の追加接種の時に初めて受けていなかった事に気付く方も多いので、そこで改めて一から受けるようにして下さい。

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