こどもの心筋梗塞

 先週川崎病のお話をしました。急性期に冠動脈に瘤ができ、その後、血栓ができてつまったり、血管壁が厚くなったりして血管が狭くなり、大人の場合と同じ心筋梗塞を起こすことがあります。今週は簡単にこのお話をします。



 川崎病は血管炎を起こします。冠動脈に血管炎がおこり、冠動脈の内皮細胞が障害を受け血栓ができやすくなります。急性期や回復期には、血液の凝固をうながす凝固因子の活動が高まるほか、血栓ができるのに大きな役割を果たす血小板も増えてきます。こうした異常な状態がそろう為に血栓ができ、そして血管が閉塞してしまいます。そうなると心筋に充分に血液が行き渡らなくなり心筋障害を起こします。こうして起こる心筋梗塞は、川崎病の発生から1年半以内におこることが多いです。閉塞する危険性がある急性期の瘤の大きさは7mm以上です。冠動脈に障害が残った場合は、経過の観察、定期的な検査、抗血小板薬の内服が極めて大切です。心筋虚血のない場合は運動を制限する必要はありません。

 冠動脈障害のない場合は過度の心配は不要です。ただし後遺症が無いと言われても定期的な検査を受けることは大切です。川崎病はまだ新しい病気で、この病気にかかった患者さんたちは40〜50歳代に達していません。血管は年齢とともに老化していきます。川崎病の冠動脈障害に、年をとるにつれて進む動脈硬化が加わった場合、どのような経過になるかを注意する必要があります。


copyright(c) 2004 Yamauchi Clinic. all right reseaved.