結核

 結核は減っていますが、1977年ごろからその減少傾向が鈍り、1997年には前年より上回るという事態になってしまいました。2000年よりは再び減少してきていますが・・・。「結核は過去のもの」という認識から警戒感が無くなり、結核と分かった時には、もう排菌しているほど重症の患者さんが増えたり、20歳代、30歳代の排菌患者さんが増えたため感染の場が広がってきています。今週は結核の話をします。

[原因] 結核菌。咳やくしゃみで空気中に飛び、人の肺に吸い込まれて感染します。結核菌は日光の中の紫外線で殺されますので、結核患者のそばにいる人(家族や親しい友人)にうつりやすいです。軽症で痰の中に菌を出していない場合は他人に移す恐れはありません。

[発病するかどうか] 結核菌が肺の中に入って増殖しだすと、多くの場合体の免疫機構により、結核菌を閉じ込めてしまいます。何らかの事情で免疫機構が弱まっている人は、発病してしまいます。発病するかどうかは、その時の健康状態、または体質などが関係しているといわれています。

☆発病しない人:体の免疫機構がしっかり働けば、結核菌は閉じ込められますが、この菌は肺の中で眠ったまま一生体内に残っています。発病はしなくても「既感染者」ですので、外部から新たに結核菌がはいってきても、すぐ撃退できますし、重症の患者さんのそばにいてもうつりません。

☆発病する人:徹夜が続く、不規則な生活で体力が落ちている、極度のダイエットなどで食生活が偏っている人などは要注意です。「既感染者」でも、糖尿病、透析、大手術などで免疫力が弱くなった時に眠っていた結核菌が活動を始めて発病することがあります。高齢者が発病する結核は、殆どこの場合にあたります。

[症状] 最初のうちは風邪とよく似た症状ですが、いつまでも咳や痰が止まらず、微熱が続きます。症状が進むと、だるさ、寝汗、胸の痛みといった症状が出てきて、さらにひどくなると血痰や喀血したりします。結核菌の増殖で肺に空洞ができ、適切な治療を行わないと、それがどんどん大きくなって、最後には呼吸困難で死亡することになります。他の人にうつるのは、発病して症状が進み、痰の中に結核菌が出てくる頃からです。

[治療] 抗結核薬。3〜4種類の薬を6〜9ヶ月服用することで、短期間で治ります。しかし途中で飲むのをやめてしまったりすると多剤耐性菌を生み出したりする事があります。こうなると結核の進行を食い止めることができなくなります。結核と診断されたら、最後まで薬を飲み続けましょう。

 風邪とよく似た症状ですので、重症化するまで発見されない・・・というためになかなか結核患者は減らないようです。又、60歳以上の占める割合が58%と過半数を占め、高齢になって免疫力が低下し発病した患者さんが施設などで集団生活しているために施設内感染を起こしてしまうケースが多かったりするようです。逆に年齢の小さい子供の場合は身近に結核患者がいなければ殆ど発病することはないようです。20代でも、いつまでも咳、痰が続くようなことがあれば、無理をせず、早めに受診するようにして下さい。

 

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