BSE 狂牛病

 アメリカ牛に狂牛病が発見され、牛丼の代わりに鶏を使ったメニューに変更したところが、鳥インフルエンザ騒ぎで何を作ったらいいのか・・・という状態のようですね。実際は鶏肉や卵を食べて感染することはまずありませんが!狂牛病は食べて感染するのですが、普通の状態の肉ならまず大丈夫です。今回は狂牛病の話をします。BSEは牛海綿状脳症(Bovine Spongiform Encephalopathy)の略で狂牛病という病名では誤解を招くのでこの言い方のほうがいいようです。

[病態] 1986年にイギリスで始めて報告された牛の病気です。脳の組織がスポンジ状になることから、牛海綿状脳症と名付けられました。2年から8年の潜伏期間の後、行動異常、運動失調、起立不能などの症状を示すようになり、発症後2週間から6ヶ月で死亡します。 人への感染は1996年に初めてイギリスで認められ、「変異型ヤコブ病」と名付けられました。

[原因] 十分解明されていませんが、異常プリオンと呼ばれる感染力のあるたんぱく質が原因で、食べ物と一緒に牛が口から食べてうつると考えられています。イギリスでは羊や牛のくず肉や骨を加工処理して、栄養価の高いえさとして牛に与えることにより経口感染しました。牛同士が接触したり、空気を介してうつることはありません。

[世界の発生状況] ヨーロッパで1986年以後年々増え、1993年には毎週1000頭の牛がこの病気で死にました。その後原因の究明により(肉骨粉のえさの中止)流行は収まりつつあります。ヨーロッパ、カナダが中心でしたが、2000年9月、千葉県で初めて日本でもBSEの牛が発見されました。そして昨年はアメリカで初めてBSE牛が発見されました。潜伏期間が長いことより、感染経路を特定するのが難しいですが、日本の場合は子牛の代用乳や飼料に感染牛の肉骨粉が混入したのではないかと見られています。

[特定部位について] 感染性が高いといわれている、牛の頭部(舌、頬肉を除く)、脊髄及び回腸(盲腸の接続部分から2メートルまでに限る)をさします。国内において、と蓄・解体時に全てのこの特定部位の焼却ならびにこれらにより食用肉等が汚染されることのない様、衛生的な処理が義務付けられています。特定部位を含まない、肉、乳は安全といわれています。輸入牛肉は、BSE未発生国からのみ輸入されていました。アメリカでBSE牛が発見されたことによりアメリカ牛の輸入禁止措置のために、外食業界が大打撃をうけました。 牛タンのメニューがなくなったレストランもあるのですが、基本的には牛タンは食べても感染はしません。

[牛材料製品について] 牛エキスは肉、骨、皮などを原材料に作られており、特定部位が使われたり、混入することは殆どありません。コラーゲンや骨のカルシウムなどが使われる健康食品も同様です。医薬品の中ではリスクの高い部位は使用が禁止されています。これまでにこうした牛材料製品によるBSEの人への感染は国際的にも報告はされていません。

[変異型ヤコブ病] これまでに変異型ヤコブ病にかかった人は、イギリスで100人以上、フランス、アイルランド、香港で1〜3人ずつ見つかっていますが、いずれも居住歴や長期渡航歴があるなどイギリスに関係の深い人達でした。将来の「変異型ヤコブ病」の見通しとして、英国王立医科大学のチャールズ・ワイズマン博士は、患者はイギリス国内とイギリスに関わりの深い人の間で今後10年間に毎年20〜30人が発生し、最終的には数百人の死者を出して終息するだろう、と予想しています。

 牛肉も心配、鶏肉・鶏卵も心配などと、いらぬ不安ばかりに駆り立てられずに、正しい知識を身に付けて、パニックに陥らないようにしたいものですね。

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