流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

 おたふくかぜは、耳の下にある唾液腺(耳下腺)に炎症がおこるので、耳の下の痛みがあり、腫れて「おたふく」のような顔になるので、こういう名前が付いています。かぜではありませんが、うつるのでかぜということになったのでしょうか?

[原因] ムンプスウイルス。口の中にいるウイルスが飛び散ってうつります(飛沫感染)。感染力ははしかやみずぼうそうよりは弱く、かかっても知らない間に治ってしまっていること=不顕性感染が30〜40%にあります。

[症状] 両側の耳下腺が腫れることが多いのですが、片側だけのこともありますし、左右で症状が出るのに少し時間差があることもありますが、2週間以上あく事はなく、片側だけしか腫れなかったからからといって、もう一度かかる、ということはありません。半数くらいは顎の下にある唾液腺(顎下腺)も腫れ、顎下腺のみが腫れることもあるので、この場合は非常に診断しづらいです。耳下腺が腫れる病気はおたふくかぜ以外にも、エコーウイルスやコクサッキーウイルスが原因だったり、細菌が原因になる化膿性耳下腺炎、アレルギーによるものか原因のはっきりしない反復性耳下腺炎、というものがあるので、感染源がはっきりしない場合は、確定診断がつけられないことも多いです。

[合併症] 髄膜炎、睾丸炎、副睾丸炎、卵巣炎、膵臓炎など。髄膜炎合併時に、まれに高度感音性難聴を起こすことがあります。おたふくかぜの時に、高熱が下がらなかったり、頭痛、嘔吐のひどい時には注意して下さい。睾丸炎、卵巣炎などは、まず第2次成長期以降にしかなりません。不妊の原因になることがまれにあるようです。

[治療] ウイルスが原因なので特別な治療はありません。口を開けるときの痛みが強いので、軟らかいものを食べさせるようにして下さい。感染力が強いので、腫れている間は集団生活はできません。2週間以上腫れる場合もありますので、登校登園時期は、しっかりかかりつけの先生に診てもらってください。

[予防] 治療法が無い代わりに、予防するワクチンはあります。希望により接種してください。髄膜炎などの副反応はまずみられなくなっています。

おたふくかぜのような子供の病気は、大人になってからかかると、重くなります。合併症も多くなります。ワクチンの予防率は100%ではありませんが、小学校の高学年までに自然にかからなかったら、受けておくのがいいと思います。

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