2009年度 新型インフルエンザ情報 No.13(09/11/2更新)

  このところ2週間に一度はインフルエンザのことばかりです。2週前のデータでインフルエンザは警報(定点医療機関辺りの報告数が1週間で30名を超える)が発令されるところが急増し、注意報発令より、警報レベルに達するのが随分時間がかかりましたが、流行は爆発してきました。
新型ワクチンに関しては乳幼児〜小学校低学年の接種が11月中旬から前倒し接種になる都道府県もあり・・・。京都では今のところ当初の予定通りのようです。また変更されるかも分かりませんが!
感染症情報センター、京都市の発生報告を転記します。

  2009年第42週のインフルエンザの定点当たり報告数は17.65(報告数84,976)となり、前週の値(定点当たり報告数12.92)よりも増加しました。定点医療機関からの報告数をもとに、定点以外を含む全国の医療機関を1週間に受診した患者数を推計すると約83万人であり、第28週以降これまでの累積の推計患者数は317万人(95%信頼区間:305.60万人〜328.40万人)となりました。

  都道府県別では北海道(57.93)、愛知県(31.78)、福岡県(29.08)、神奈川県(25.19)、大阪府(23.25)、埼玉県(22.97)、東京都(22.20)、兵庫県(22.09)、沖縄県(22.05)、秋田県(19.29)の順となっており、鳥取県を除く46都道府県で定点当たり報告数の増加が認められました。38都道府県の299保健所地域では定点当たり報告数が10.00以上となっており、また12都道府県の75保健所地域では定点当たり報告数は30.00以上となっています。
京都市でもインフルエンザの定点当たり報告数は13.01(885例)で,注意報発令の基準値である10を超えています。行政区別定点当たり報告数をみると,5行政区で注意報の基準値を超えており,東山区では警報の基準値(30)に近い値となっています。

  患者報告数が継続的に増加し始めた第28週以降第42週までの定点当たり累積報告数は61.62(累積報告数293,511)であり、年齢群別では10〜14歳100,444例(34.2%)、5〜9歳83,708例(28.5%)15〜19歳38,654例(13.2%)、0〜4歳29,550例(10.1%)、20〜29歳16,412例(5.6%)の順となっています。夏季休暇終了後に5〜19歳の割合が増加して流行の中心となりましたが、特に第40週以降では5〜9歳の報告割合の増加が目立ってきていることに加えて、4歳以下の年齢群の報告割合も増加してきています。

  日本で新型インフルエンザウイルスAH1pdmが検出された2009年第19週以降第42週までに11,083件のインフルエンザウイルスの検出が報告されており、そのうちAH1pdmは10,058件(90.8%)を占めています。また、特に患者報告数が増加し始めた第28週以降では、第42週までに8,860件のインフルエンザウイルスの検出が報告され、AH1亜型(Aソ連型)17件(0.2%)、AH3亜型(A香港型)111件(1.3%)、B型4件(0.0%)、AH1pdm(新型インフルエンザウイルス)8,728件(98.5%)とインフルエンザウイルスの検出報告数の大半をAH1pdmが占めており、現在国内で発生しているインフルエンザの殆どは新型インフルエンザによるものであると推定されます。

  当院での2004/2005シーズンの最高患者数は1週間で141名でした。それ以前の大きい流行では、阪神大震災のあった1994/1995シーズンの大流行時も大変でしたが、すごかったのが1997/1998シーズン。この時のデータは残っていませんが、近所で小児科の開業医がまだ少ない頃でもあったため、2004/2005シーズンよりも新型の大流行が叫ばれている今よりももっともっと来院数は多く、大変でした。小児のインフルエンザ脳症のことが言われだしたのがこの年、沢山の年配者がインフルエンザで亡くなられ、それまで殆どしていなかったインフルエンザワクチンの接種を始めたのも、この流行の年からでした。ワクチンでせめて少しでも感染者が減り、脳症になる方が少なくなれば!という思いからでした。年々接種者が増えるにつれ、ワクチンをうっていても罹る方の数が増えていき、ワクチンの効果に対する苛立ちがふつふつと湧き上がっているこの頃です。もっと効果のあるワクチンは作れないものでしょうか・・・。追加接種の必要のないタイプのものも他国では開発中と聞きます。少しの副反応でも過敏になる日本においては、難しい問題です。

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