2009年度 新型インフルエンザ情報 No.3 (09/5/25更新)

  1週間で状況は大きく変わっています。いまや日本は世界でメキシコ、アメリカ、カナダに次ぎ、4番目に患者発生の多い国になりました。5月24日現在感染者342名、京都での発生も時間の問題でしたが、5月21日に1名、23日にもう1名確定されました。残念ながら感染源を特定することができていません。

新型インフルエンザ確定数    5月23日午後3時現在

  たった1週間で、アッという間に感染者が増えました。兵庫県の発熱センターは対応しきれず、蔓延期に入ったとして最近は普通の対応に変わっているようです。大阪府下全域の学校全て1週間休校、というのはあまり意味の無い処置だと思っています。感染地域以外の小学校は子どもの移動は少ないですから・・・。その休校、休園も解除されます。今後はどうなるでしょうか?ただ、感染者の多かった高校ではまだ休校措置は取られるようです。それは必要でしょうね。今回、最初は「何故調べたのか?」などと言われたA高校の医師のおかげで、A高校では感染者が爆発的には増えず、インフルエンザの症状の生徒が多数居たに関わらず、検査の遅れたB高校では大量の感染者、その学校関係で次々と広がっていった、のがこの数になったようです。ただし、B高校の始まりがどこからかは不明です。最近は感染者の数の増え率が低くなっているようですが、ピークを過ぎて押さえ込めたのか、数が多すぎて、普通の対応に変わったために全数が把握できなくなったのか・・・、わからない状態です。大阪、兵庫での発生はその後滋賀、京都、埼玉に飛び火していますが、こういう飛び火の仕方を見ていると、本当にどこで感染したかが分からず、新型インフルエンザと診断されていない、又は症状の無い不顕性感染者がいかに多いか!です。日本は侵入を防ぐのに躍起になっていましたが、結局は全てをすり抜けてこの結果です。弱毒であったのが幸いか、弱毒だからこうなってしまったのか・・・。

  時間の問題で感染者のでた京都では、休校は周辺2つの校区の小・中学校と幼稚園、市内の高校のみになりました。保育所は休園になりませんでした。大阪とは増加数のレベルも違いましたが、厳しい対応でなくてホッとしました。A型のインフルエンザの患者さんを診た時の対応も、この前後で随分変わりました。毎日のように診療所の対応についてFAX、メールで連絡が入ります。発熱センターの対応も日によって随分違うようです。診療所では、発熱の患者さんを一般の患者さんと分けてみるように、などという通達もありましたが、毎日熱の患者さんの来られる小児科では、それは不可能です。もう新型インフルエンザはどこで感染するかは分からず、疑いの強い例を分けることも不可能です。ただ、当院では、一応小学生以上の方は注意して、待合で待ってもらうのは避けるようにはしています。新型インフルエンザは重症ではない、ということは皆さん分かっておられるので、ただただ、この地域で第1号にはなりたくない・・・というような気持ちが強いようです・・・。

  マスクも消毒用のアルコールも全て品切れです。インフルエンザの検査キットも数少ないようです。何かあるといつでも皆が殺到するので、同じことの繰り返しです。2年前は麻疹の抗体価の検査ができませんでした・・・。マスクは少しは予防効果はありますが、むしろ咳、クシャミのある人が他の人にうつさない、という目的でしていただくべきだと思っています。

  今回のウイルスA(H1N1)は、アジア風邪が流行する前に流行の中心だったH1N1型に交差抗原があるのか、高校生や若い年齢層が感染の中心で、1957年以前生まれのものには少しの抗体がある、と言われています。高校生はクラブ活動等密接に接触し、行動範囲が広く、感染を広げやすいという特徴がありますが、季節性のインフルエンザでは、この年齢層は一番感染が少ないので、何故かの解明が必要になりそうです。何であれ、重症になりやすい高齢者や年少児の感染が少ないのが何よりです。

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