2009年度 新型インフルエンザ情報 No.2 (09/5/18更新)

  今週は新型インフルエンザ情報は要らないかと思っていましたが、週末、大きく事態が変わりました。日本の国内での2次感染例が出ましたので。今後はもっと増えていくでしょうね。こうやってトピックスを書いている間にも、感染者の数がふえています。

  新型インフルエンザは水際では防ぎきれない。それは発生当初から指摘されてきたことです。渡航歴のない感染者の確認は、十分に予想されたことで、他の地域でも人から人への2次感染が広がっている可能性を示しています。今後の感染拡大を見越して、検疫に重点を置いた水際対策から、国内の体制整備に軸足を移す時になっていると思います。ただ、これも感染者が増えると発熱センター基幹病院はパンクしますので、どこで季節性インフルエンザの対応に切り替えるか、ですね・・・。
  今回の新型は、多くの人にとって季節性インフルエンザと同程度の症状にとどまっています。その点では恐れることはなく、冷静な対応が大事です。ただ、秋冬に向けて変異することもありえます。ほとんどの人に免疫がないため、重症者が多く出る恐れもあります。重症化の恐れがあるのは、慢性の呼吸器や循環器の疾患、糖尿病、免疫不全などの持病のある人たちです。妊婦もリスクが高いと考えられます。季節性と違って、健康な若者の中にも重症化する人がいるかもわかりません。今後、こうした人々の感染防止や治療をどう進めていくか、具体的に考えなくてはなりません。その際に重要なのは医療体制の整備です。感染者が増えてきた場合には、現在の発熱外来で確実に対応できなくなります。病院を感染拡大の場にしないよう、十分なシミュレーションが必要で、発熱外来だけで対応できなくなった場合のことも、早急に考えておかないといけません。
  感染者が確認された地域で学校などを休校にすることは、国内感染者が確認された初期の段階では妥当な対応だと思います。ただ、新型対策は、健康被害を防ぐと同時に、社会機能を混乱させないことも重要であり、バランスのとれた対応は欠かせないでしょう。学校や保育所を臨時休業にすることに伴い、保護者の勤務に支障が出る場合もあります。そのための手当ても、地域や職場で考慮しておくことが必要となります。
  新型対策は、国と自治体で役割分担されています。地域の実情に応じた自治体の対策は重要ですが、そのための基準を示す責務は国にあります。変化していく状況に応じ、迅速な対応が国には求められます。自治体同士の連携も重要になります。
兵庫県では、今発熱センターの電話はなりどおし、対応する職員の数を増やしているそうですが、どこまで対応できるでしょうか?感染者のでた学校も広がっています。接触の無い学校も感染者が出ていますので、このままでは、熱がある人全員にインフルエンザの検査をしないとならなくなります。A型が陽性ならば、全員新型の検査に回す必要があるのでしょうか?これでは麻疹のときの二の舞ですね。検査キットや、精密検査はまたすぐになくなり、できない状況になるでしょう。

  今、京都の北区でもA型インフルエンザの局地集団発生がみられています。一つの小学校で1学年大流行。兄弟関係で他の学年にも飛び火。提出されたPCR検査では全て新型は陰性。季節性インフルエンザの局地流行のようです。繰り返し言いますが、感染を確実に防ぐことは不可能です。必要以上に恐れず、上記に書いたような、(これは季節性インフルエンザの場合も同じでした)重症になりやすい基礎疾患をお持ちの方は充分気をつけてください。

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