2013年度インフルエンザ情報 No.4 (14/2/17更新)

インフルエンザは峠を越しました。全国的にも2週前の第5週がピークであったようです。例年よりやや多いくらいの流行でしたが、京都では1昨年に近いかなり多くの報告がありました。国立感染症情報センター、京都市衛生環境研究所等のホームページから転記して、まとめてみます。

インフルエンザの定点当たり報告数は2013年第43週以降2014年第5週までは増加が続いていましたが、第6週の定点当たり報告数は30.72(患者報告数151,829)となり、前週の報告数(定点当たり報告数34.44)よりも減少しました。都道府県別では大分県(52.38)、群馬県(43.08)、埼玉県(41.77)、宮崎県(39.58)、神奈川県(39.22)、長野県(39.22)、千葉県(39.00)、愛知県(38.05)、沖縄県(37.34)、福岡県(37.31)、滋賀県(37.06)の順となっており、13道県で増加がみられましたが、34都府県では前週の報告数よりも減少しました。下図は第4週のものです。

京都市のインフルエンザの定点当たり報告数は第5週で36.94(2,512例)、前週 24.21(1,646例)に比べ約1.5倍となり、警報レベルの「30」を上回りました。定点当たり報告数が「30」を超えたのは,2011/2012シーズン及び2012/2013シーズンに引き続き,3年連続となっています。第6週は28.50(1,938例)と減少し警報レベルより少なくなりました。

全国の報告の年齢別では、5〜9歳が約38万人、10〜14歳が約23万人、0〜4歳が約22万人、30代が約18万人、40代が約16万人、20代が約11万人、50代が約10万人、15〜19歳、60代がそれぞれ約7万人、70歳以上が約5万人の順となっています。
京都市でも5〜9歳代が一番多いのは同じ、次は4歳以下です。10〜14歳は全国よりもやや少ないです。10歳未満で罹患者の50%を占めています。30歳以上の方の罹患は昨シーズンよりは少なくなっていますが、例年よりはやや多いです。

全国のインフルエンザウイルス分離・検出報告数は、AH1pdm09型615例、AH3型560例、B型379例となっています(平成26年2月6日現在)。AH1pdm09の検出割合が増えてきています。

3年連続で警報を超える流行が見られたことは今までに無かったことです。京都市の下図を参照してください。

ホームページを作って記録が残っているのは平成16年からです。この年は京都市では警報値を超えていますが、当院では週の報告数は100名を超えず例年並みであったようです。あまり記憶に残っていません。平成17年は流行の始まりが非常に遅く、大人の方のB型が非常に多かった年で、A型とB型両方感染した方も多かったでした。
それ以前は平成10年、インフルエンザ脳症でお子さんがたくさん亡くなられた…それが報告されだした時でした。インフルエンザの治療薬も検査キットも無く、非常に重いお子さんが多かったことを覚えています。インフルエンザワクチンの接種者は殆どおられなかったと思います。正確なり患数は覚えていませんが、検査キットが無かったので、インフルエンザ様疾患として、その時期に高熱の出ていた方は全員インフルエンザと診断していました。近くで開業されている小児科の先生もまだ少なかったので、とにかく考えられないほど忙しかったでした。新型のウイルスが出るまでは3.4年に1回は大きな流行はあるものの、それ以外の年は小流行、あまり流行らないことが多いようでした。
2009年以降でインフルエンザの少なかったのは平成23年、2010年のみです。AH1pdm09型の罹患者はあっという間に減ってしばらく流行らなかったAH3型の流行にとって代わり、これが子ども、翌年には大人の間で大流行。それが終息していくのと並行して再びAH1pdm09型が増えてきた、同時にB型も非常に多い…という状況なので大流行が続いているようです。インフルエンザウイルスは生き残るために形をどんどん変えていくので、抗体を持っていない年齢層が増えてくるとその中で広がっていくのはどうしても止められない事のようです。が、2009年にかからなかった大人の方が、今年かかるのは何故なのでしょうか?…謎です。
今年の流行では、高齢者の少ない当院でも60歳以上の年齢の方の罹患が例年よりは多い…という事もいつもと少し違います。このA型はおそらくAH1pdm09型なのでしょうか?それがわかる検査キットもあるのですが、検出までの時間がかかるので、当院ではその検査キットは使っていませんが…。検査キットの普及は、この時期の高熱の患者さんが全員インフルエンザではない、という事もわかりましたが、逆に高熱は出ない、微熱、あるいは大人の方では熱も出ずにだるいだけの場合でもインフルエンザである…という事がわかるようにもなりました。

今のところワクチン株と流行株の変異は見られず、B型もワクチンに含まれる山形系の方がより多く分離されているのでワクチンは当たっているのですが…、いつも言いますようにワクチンでは流行は止められていません。大人の方はワクチンを打っておられない方が多いですが、4歳から小学生くらいまでの罹患者の40〜45%がワクチン接種者です。この辺りはワクチン接種者の母数の違いだけのような気がします。テレビのニュースでインフルエンザ流行の報道が多くなった1月末や2月上旬でも、まだ、ワクチン株は流行株と一致しているので今からでもワクチンを打ってください、とアナウンサーは言います!これは止めて欲しいですね。抗体ができるのに2.3週はかかるのに、今更…。子どもが罹ってから、テレビで打ってくださいと言っていたからとワクチン接種を希望される保護者の方…。意味は無いですね…。

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