山内医院では、厚生労働省感染症サーベイランスを1週間単位で実施し、保健所に報告しています。そのデータをもとに、分かりやすく加工し直したのが、このページです。いまこの地域ではどんな病気が流行っているのか、感染防止の目安にして下さい。
■= 10 ■= 1
2007年3月19日〜3月25日

(第12週)
6


12


1
2 3 4 5 6 7 8 9 10

14
15

19
20



咽頭結膜熱 (プール熱)
            0
A郡溶血性連鎖球菌感染症
                1
2

2

      5




感染性胃腸炎 1
4



1
1
3


1
1
  1
  2

3


 
6




24




水痘
      1
1
2

                4



手足口病
                            0
伝染性紅斑(リンゴ病)
                            0
突発性発疹
  2

1
                      3


百日咳
                            0
風疹
                            0
ヘルパンギーナ
                            0
麻疹
                            0
流行性耳下腺炎
                1
          1
RSウイルス感染症                             0

インフル エンザ 6


12


1
2

3

4 5 6 7 8 9 10

14
15

19

合計
50




  1
3


5




2

  5




3


4



2

1
10
2

38








20

29
30

39
40

49
50

59
60

69
70

79
80


           
2

6




 
4



                   
12

【今週のコメント】
  今週半ばより、ようやく暖かくなってきました。金曜日は最高気温が20度近くまで上がりました。京都市内の小学校では22日が卒業式でした。春休みも始まり、心弾む季節ですね。2月が暖冬でしたので、桜の開花はやはり早く、来週末でしょうか。
  この暖かさと、幼稚園が休みに入ったせいか、やっとインフルエンザは少なくなってきました。インフルエンザに関しては、タミフルが大きな問題となっています。これは今週のトピックスで触れたいと思います。25日に休日診療所に行きましたが、ここではまだまだインフルエンザの患者さんが多く、兄妹同時に発熱して、一人がA型、一人がB型、又双生児でA型とB型とバラバラに罹患した例がありました!不思議です。いつもでしたら多いはずの感染性胃腸炎もあまり多くない、という印象でした。ウイルス性胃腸炎かと思っても、調べたらインフルエンザだったお子さんも多かったです。それ以外はみずぼうそうが1名のみ、インフルエンザが陰性でも、高熱のお子さんが目立ちました。でも、もう春休み、もう終息しますね。明日から旅行やら、実家に帰る予定をされていて、インフルエンザにかかった、又旅行中にうつって帰って来たご家族も多かったですね。せっかくの楽しみが台無しなのですが、無理はなさらず、体を大事に、又他の人にうつしてしまう、ということも十分考えて下さい。

■今週のトピックス<インフルエンザ情報 No.8 タミフルについて>

  3月22日10代の患者に対して、厚生労働省はタミフルの使用制限を決めました。死亡との因果関係があるのか、無いのか、はっきりと分からない状況での制限勧告でした。これも新聞によっては使用中止との報道をしているところもあります。殆ど中止の受け取り方がなされているようですが。昨年度から、異常行動としての転落死が指摘され、タミフルという薬に関して、このトピックスの欄でも取り上げましたが、もう一度考えてみたいと思います。

[タミフル問題の経過]
2001年 2月
  国内で販売が始まる
2003年 1月
  インフルエンザ流行で品不足に
2004年 6月
  服用者に意識障害が出たため、厚労省が輸入販売元の中外製薬に副作用の可能性を明記するよう指示
8月
  厚労省が5年間で1000万人分を国家備蓄する方針を表明
2005年11月
  服用後の異常行動で男子2人が事故死していたことが日本小児感染症学会で報告
11月
  服用した日本人の子供12人が死亡していたと米食品医薬品局(FDA)が報告
2006年 2月
  05年度補正予算に740万人分の備蓄が盛り込まれる
7月
  薬害タミフル脳症被害者の会が名古屋市で結成
10月
  厚労省の研究班が「異常行動に関連性があるとは言えない」との結果をまとめる
11月
  米FDAが「服用と異常の因果関係は否定できない」との内部資料を公表
2007年 2月
  服用後に男子中学生が仙台市内のマンション11階から転落死。厚労省が注意呼びかけ
3月
  厚労省が10代への使用中止を求める緊急安全性情報を出すよう中外製薬に指示
  因果関係は、これからしっかり調べていく、という途中で、死亡例だけでなく転落して怪我をした例を含めると多数に上るため、警告を発する必要があった、ということです。
               

[10代だけが問題か?]
  10才以上という年齢を設けたのは、年少児では脳症発症等の問題があり、タミフル処方の選択を残した、ということです。そういう意味では勿論、9歳だから大丈夫ということも無く、3月25日には10歳未満の異常行動についての報告もなされています。 以下朝日新聞の記事です。
  『厚生労働省が服用と異常行動との関連性を調べているインフルエンザ治療薬「タミフル」について、01年2月の発売以降に報告があった約1800件の副作用のうち、異常行動につながる心配のある「精神・神経症状」(意識障害や異常行動、幻覚、妄想など)が少なくとも約280件あったことが24日、朝日新聞の調べでわかった。10歳未満の子どもの例も20件以上報告されていた。
  医薬品の副作用報告は、医師の判断に基づき医療機関から製薬会社に寄せられ、その後、会社から国に届く。同省は年に3、4回開く、薬事・食品衛生審議会の医薬品等安全対策部会で、最新の副作用事例をまとめた資料を配布し、死亡例など重大とみられる事例について分析をしている。
最近10回の部会にはかられた副作用報告(03年7月〜06年12月分)を集計したところ、「精神・神経症状」にあたる副作用が約280件あった。内訳は、意識レベルの低下や失神などの「意識障害」が63件、転落などの「異常行動」が46件、幻覚などを起こす「せんもう」が31件など。「自殺未遂」2件や「落ち着きのなさ」7件なども含まれていた。
このほか、突然死6件、骨折4件、脳挫傷1件などがあった。骨折や脳挫傷は、転落や転倒などの異常行動が原因だった可能性もある。
  同省がこれまで公表している飛び降り・転落などの異常行動は10代の16件と、成人の7件の計23件にとどまっている。』
  ただ、この報告に関しては、タミフルが原因かどうかは分かりません。こういったことは、タミフルが販売される前から沢山の小児科医が経験しているところであり、昨日こういう症状がありました、といってこられたお子さんがインフルエンザと診断された、という例はあげるに暇がありません。勿論タミフルは服用していません。飛び降りの例はこれまでは報告されていませんでしたが、今年は服用せずに、飛び降りた例が報告されました。 

以下読売新聞の記事です。
  『西日本で先週末、インフルエンザにかかった男子(14)が、自宅2階から飛び降り、足を骨折していたことがわかった。タミフルは服用していなかった。
  主治医によると、この男子は15日、38度の熱があり、翌日いったん熱が下がったものの、17日未明に自宅2階から飛び降りたとみられ、玄関先で倒れているところを発見された。
病院搬送時に熱があり、検査でB型インフルエンザに感染していたことがわかった。男子は「夢の中で何かに追われ、飛び降りた」と話しているという。
  タミフル服用後の「飛び降り」事例が相次ぎ、薬との因果関係が疑われているが、服用していない患者の飛び降り例はこれまであまり報告がないという。このケースは来月、厚労省研究班会議で報告される予定。』


[幼児の突然死問題]
  こういった異常行動とは別に、インフルエンザにかかった幼児が突然死する、という例が報告されています。脳症の一つのタイプとして報告されていますが、これがタミフルを服用した結果だという人もいます。動物実験の結果などから、タミフルが脳内に移行する例もあり、呼吸抑制に働くのではないか、と言われています。今まで述べてきた異常行動とは全く逆の方向の働きかたです。これもタミフルを服用せずに突然死しているケースのほうが多く、本当に薬が原因であるのか、詳細なる調査が望まれます。


[タミフルは服用すべきか?]
  これだけ色々なことが報道されると、保護者の方々は不安になられるかと思います。それまではインフルエンザイコールタミフル服用、でしたので。大流行してタミフルが無くなった2003年はタミフルが無いと大変なことになるとこちらがうんざりするくらいにマスコミは大騒ぎしていました。昨年も書きましたが、インフルエンザで本当にタミフルが必要な方はごく限られているのだと思います。誰でも彼でも皆タミフル、という今までの日本の状況が異常であったのだと思います。小学生以上の方は薬を飲まなくても安静にしてれば治る病気です。今後はそういったことをもっと徹底していく必要があるのでしょう。熱がごく短時間で下がる、というのは魅力ではありますが!では、幼児に対しては?これも昨年書きましたが、この薬のおかげで、高熱が続いて入院、点滴、検査が必要になったお子さんは本当に激減しています。比較的軽くすむお子さんもありますが、使ったほうがやはり安心、というように思います。 


  私個人的にはこういった異常行動が本当にタミフルが原因だとは断言できない、と思っています。薬を服用していない場合でも同じことが起こっていますので!タミフルを飲んでいなければ大丈夫、リレンザなら大丈夫、ということではない、ということをもう少し取り上げて欲しいとも思っています。ただ、成人が痙攣を起こした例などもあり、この年間800万人もの人間が飲んでいる薬、沢山の人が飲めば色々な症状が起こってくる可能性もふえるでしょうし、少なくとも、もともとインフルエンザや熱のせいで引き起こされる異常性を、高めてしまうような作用はあるのだろうとは感じています。薬と異常行動との因果関係がもう一度、再調査されるとのことですので、その結果タミフルが熱せん妄などが引き起こされる頻度を引き上げる、という結果がでるのであれば、幼児に対しても、使用は制限する必要が出てくるかも分かりません。前回の調査でも調べた3000人近いお子さんの9割がタミフルを服用していたという、この服用の多さのほうが問題になるかもしれません。

● リンク
京都市衛生公害研究所 国立感染症研究所感染症情報センター

 

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