山内医院では、厚生労働省感染症サーベイランスを1週間単位で実施し、保健所に報告しています。そのデータをもとに、分かりやすく加工し直したのが、このページです。いまこの地域ではどんな病気が流行っているのか、感染防止の目安にして下さい。
■= 10 ■= 1
2006年10月30日〜11月5日

(第44週)
6


12


1
2 3 4 5 6 7 8 9 10

14
15

20
20



咽頭結膜熱 (プール熱)
     
1
1
1
      3


A郡溶血性連鎖球菌感染症
                  1
        1
感染性胃腸炎   1
5




5




5




6




3


  3


  1
3


 
6




38








水痘
                            0
手足口病
    1
                      1
伝染性紅斑(リンゴ病)
                            0
突発性発疹
                            0
百日咳
                            0
風疹
                            0
ヘルパンギーナ
                            0
麻疹
                            0
流行性耳下腺炎
                            0
RSウイルス感染症                             0

インフル エンザ 6


12


1
2

3

4 5 6 7 8 9 10

14
15

19

合計
0
                          0
20

29
30

39
40

49
50

59
60

69
70

79
80


           
                          0

【今週のコメント】
  世間一般では3連休。非常に好天続きでした。まだまだ紅葉シーズンではないにもかかわらず、京都の街中は、車であふれていました。日中がいつまでたっても暑いのがチョッと心配。最高気温、24度?!もう11月なんですけど・・・。雨が少ないのも心配です。
  感染性胃腸炎がとにかく多いです。今年は増えだすペースが早いです。全員が先週と同じく10歳以下。あとはうつされたお母さん、お父さんでした。こうして大人の方にも広がっていくのでしょうね。今週は点滴した人の数は少なかったです。嘔吐は続きません。それ以外の病気は非常に少ないです。今週は咽頭結膜熱かと思われる方がちらほら。おたふくかぜは新聞やテレビで話題になったほど多くはありません。全国的には例年よりは多い年のようですが、秋以降は、例年ならば1週おきくらいにパラパラみられる程度もなく、京都ではむしろ少ないくらい?あまり合わないですね・・・。これは、伝染性紅斑の時も感じました。このあたりですごく多いと思っていた時に、全国的には問題になりませんでした!でも、おたふくかぜに関しては、テレビなどの影響でか、今、ワクチンを受けに来られる方が随分多いようで、これは歓迎すべきことなのでしょうね!
  今インフルエンザワクチン接種シーズンです。受けに来られる方が多くなり、待合が混雑しだしています。4日の土曜は連休の谷間で、患者さんも多く混乱して申し訳ありませんでした。今後、月曜金曜の午後、少し早い時間にあけてワクチン接種をする予定ですので、その時間帯もご利用ください。

■今週のトピックス<破傷風>

  ジフテリアの次は破傷風です。これも最近はほとんど見られませんが、菌はどこにでもいるので、消滅させることはできません。日本脳炎や、ジフテリアよりもまだまだ多い病気です。今週はこの話をします。

[患者発生状況]  破傷風は1950年には届け出患者数1,915人、 死亡者数1,558人であり、 致命率が高く(81%)、 死亡者の過半数は15歳未満の小児でした。1953年のT導入(任意接種)、 さらに1968年のDPT定期予防接種開始後、 破傷風の患者・死亡者数は減少し、 1980年代後半以降は年間30〜50人前後となり、 その20〜60%が死亡する状況が続いていました。感染症法施行後は65人(1999年4〜12月)、 92人(2000年1〜12月)、 71人(2001年1〜11月)と患者報告数は増加傾向にありますが、 30代前半まで(定期接種を受けている年齢層)での増加はみられていません。

[原因]  嫌気性菌である破傷風菌Clostridium tetani の産生する破傷風毒素テタノスパスミン(外毒素で神経毒素)によって生ずる病気です。破傷風菌は土の中などで、熱や乾燥に強い芽胞という殻に包まれて長い間、隠れ潜んで生きています。しかも、空気の流通の悪い状態、深い傷の奧で増え続ける嫌気性菌です。このように抵抗性の強い細菌ですから、世界中のどこの土壤にも見つかり、土壤で汚染された傷口から感染し、体内で増殖します。深い外傷を負ったとき、特に傷の中に土やふんなどが混入しているおそれがある場合には、破傷風にかかる可能性があります。

[症状]  潜伏期は3〜21日で、ヒトからヒトへの感染はありません。頭痛、落ち着きがなくなる、易刺激性などで始まり、感染した部位に近い筋肉のこわばり、肩こりなどが表れ、舌がもつれる様になるでしょう。顔の筋肉が痙攣して、丁度笑ったようになる「痙笑」、咬筋が痙攣して口を開くことが出来ない開口障害(牙関緊急)食べ物を飲み込むことが出来ない嚥下障害に進みます。突然、全身痙攣が出現し、背部の筋肉の痙攣のため、のけぞった様になる後弓反張が見られます。知覚神経は冒されません。意識ははっきりしています。それだけに痙攣による苦痛は強く訴えられるでしょう。嚥下性肺炎により発熱することがありますが、破傷風感染だけでは発熱はありません。3〜4週間の後に次第に全身痙攣は少なくなりますが、排尿障害、排便障害、興奮、唾液分泌過多、発汗などで苦しみ続け、後に筋無力、歩行困難などが長く続き、次第に軽快に向かいます。

[治療]  破傷風の症状が現れたら、入院させて静かな部屋で安静を保ちます。メトロニダゾール、ペニシリン、テトラサイクリンなどの抗生物質を投与して細菌を殺し、毒素が増えるのを抑えますが、すでにつくられた毒素に対しては、抗生物質は効力がありません。毒素の中和には破傷風免疫グロブリンを使います。そのほか、鎮静、筋肉の弛緩(しかん)、痛みの緩和、けいれんの抑制、心拍数や血圧のコントロールに役立つ薬剤を使います。中度から重度の感染症では、呼吸を補助するために人工呼吸器が必要となります。破傷風になると食べものを飲みこむのが難しくなるので、栄養剤を点滴静注したり、鼻から胃へチューブを通して補給します。
水ぼうそう(水痘)などの他の多くの病気では、一度かかればその病気に対する免疫ができて二度とかからなくなりますが、破傷風の場合は、治ったとしても免疫はできないので、回復後に破傷風の予防接種を一通り受けなければなりません。

[予防]  破傷風はいったんかかってから治療するより、予防することの方がはるかに効果的です。一連の初回接種(注射を3回以上)を受けておけば、破傷風になることはまずありません。破傷風ワクチンは、体に細菌自体を攻撃させるのではく、細菌が出す毒素を中和する力を高めます。小児には、ジフテリア、百日ぜき、破傷風の3種混合ワクチンで接種されます。一連の初回接種を済ませた成人は、10年に1回追加接種を受ける必要があります。
  けがをした人に対する予防接種の方法は複雑です。一般に、一連の初回接種を済ませている場合は、過去5年以内に追加接種を受けていれば接種の必要はありません。一連の初回接種を完了してない場合や、追加接種を受けてから10年以上たっている場合は、追加接種に加えて、破傷風免疫グロブリンも必要となります。
  そのほか、汚れたり死んでいる組織は破傷風菌の増殖を促すので、傷口、特に深い刺し傷をすみやかに徹底的に洗浄することも予防対策になります。異物や損傷した組織は、必要があれば外科的に取り除きます。

破傷風の追加接種はどんな場合に必要か

 

汚れがなく小さな傷

深い傷や汚れた傷※1

過去の予防
接種回数
2種混合ワクチン※2
破傷風免疫
グロブリン
2種混合ワクチン
破傷風免疫
グロブリン
不明または
3回未満

(要接種)
×
(接種不要)
3回以上

最後の接種から10年以上たっていれば○

×

最後の接種から5年以上たっていれば○

×

※1 泥、糞便、唾液などで汚れた傷。刺し傷。組織欠損を伴う傷。異物、打撃、やけど、凍傷による傷など。ただし接種対象はこれらの傷のみに限らない。
※2 2種混合ワクチン=破傷風・ジフテリア混合トキソイド皮下注射(成人用)。7歳未満の小児には3種混合ワクチン

  破傷風も私は診た経験はありません。小学校の5年生の時に、同級生が破傷風で入院したことを覚えていますので、日本脳炎やジフテリアよりも身近に感じます。(定期接種の開始が1968年ですのでワクチンは受けていませんね!)2004年より破傷風の発生数は100人と、かなり増えてきているようです。三種混合ワクチンのおかげで、子供には見られず、患者さんはほとんどが30歳代後半、死亡者はほとんどが50歳以上ということです。予防接種のありがたさをひしひしと感じます。

● リンク
京都市衛生公害研究所 国立感染症研究所感染症情報センター

 

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